「レベル3」以上の自動運転カー、市販化は2021年か? ロボットタクシーの現実味は?

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前回の記事で、私は「完全自動運転」という言葉を用いた。これこそ、多くの人々が考える「本来の意味での自動運転」というべきものだが、具体的にどのような機能を指すのか、少し考えてみよう。

第二回 自動車好きじゃなくても気になる「自動運転」の最新事情

「完全自動運転」というからには、運転操作はすべてクルマ任せで、ドライバーは基本的になにもしなくてもいいことになる。人間がすべきことといえば、目的地の入力くらい。あとは一般道だろうと高速道路だろうとすべてクルマが自動操作。横断歩道で歩行者が待っていれば、その人が通り過ぎるまで横断歩道の手前で停止するとともに、交差点では信号を読み取るだけでなく他の交通を検知して優先順位を判断し、譲るべきは譲って自分の順番がやってきたら前に進む。もちろん、あらかじめ設定されたルートにしたがって交差点を右左折する必要があるほか、高速道路ではインターチェンジでの流入や流出をこなし、ランプでは必要に応じて路線を変更し、遅いクルマがいたら追い越し、速いクルマがきたら道を譲らなければいけない。

ここまで読んで「そんなの絶対に実現できるはずがない」と思われた方もいるだろう。「高速道路はまだしも、市街地の交通は複雑すぎて機械には対応できない」と……。実は、最初に述べた「完全自動運転」はいつでもどこでもクルマが人に頼ることなく全自動で運転を行うもので、専門家たちはこれを「レベル5の自動運転」と呼んでいる。いっぽう、難易度の高い市街地は諦めて高速道路など特定の場所のみ全自動運転を実現したものを「レベル4の自動運転」と呼ぶ。

では、「レベル3の自動運転」とはなにか? もしも不完全な自動運転システムであれば、市街地だろうと高速道路だろうと機械が対応しきれない状況が存在する。そんなときに「あと30秒で自動運転は停止するので、その後はドライバーが自分で運転してください」と白旗を揚げるのがレベル3。いま、数多くの自動車メーカーが実用化を目指しているのが、このレベル3である。

そして現時点で実用化されているのがレベル2。これは自動運転ではなく、「安全運転支援システム」などと呼ばれる。要は、運転の主役はあくまでも人間で、機械はハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダルの操作を補助するだけ。具体的には、アクティブレーンキーピングやアダプティブクルーズコントロールと呼ばれる装備が、これに相当する。

【VOLVO】ドライバーが運転をするより、自動運転のほうが事故の発生件数を減らせると考え、安全技術の最先端をいくボルボ。大型動物の検知機能も世界で初めて実用化している。

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【MERCEDES-BENZ】メルセデス・ベンツが新しい技術の実験車両としてたびたび登場させる「ESF」。その最新バージョンである「ESF 2019」では自動運転モードになるとステアリングやペダルなどを格納する。まさに未来のクルマである。

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【MERCEDES-BENZ】ESF 2019がユニークなのは万が一の事故の際には、二次的な事故を防ぐために三角停止板がポップアップし、リアガラスに警告メッセージが流れるという点。各メーカー、今までにない様々な機能で自動運転化に向けての準備を進めている。

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【LEXUS】レクサスも自動運転実験車の「TRI-P4」などを発表し、その技術力をアピール。ハイブリット車の電力をコンピュータに用いて、高い機械学習能力や計算能力を確保。2019年中にはテスト走行も開始されるとアナウンスされている。

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【NISSAN】日産が今年の9月から発売するスカイラインには、世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」が採用される。高速道路ではドライバーが前方に注意し、すぐにハンドル操作ができるという条件で、同一車線内でのハンズオフが可能になるというもの。

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