「リーダーたちの本とメガネ」UMAMI BURGER JAPAN 海保達洋氏

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リーダーたちの本とメガネ

リーダーとしてビジネスを牽引する男たちが愛読する本&愛用するメガネ。そこには、日々、厳しい競争の中で奮闘する彼らの思考法やビジネス哲学が宿っている。

海保達洋氏

Profile

UMAMI BURGER JAPAN
代表取締役
海保達洋氏

1970年生まれ。中学時代からコンピュータに没頭。大学卒業後システムエンジニアとして12年間勤務したが、アクセサリー輸入会社オーナーとの出会いを契機に転職。海外を飛び回る中でアメリカ西海岸で展開されていたウマミバーガーと出会い、その味にしびれた。米国本社トップに直談判し、日本での立ち上げに参画。日本1号店を2017年に青山でオープンすると、自慢の旨味とスタイリッシュな空間が受け、ブレイク。すでに、みなとみらい店、恵比寿店など4店舗を展開し、夏には5号店のオープンも控えている。


直感を信じてきた結果たどりついたのが旨味

パティにもバンズにも徹底的にこだわったリッチなハンバーガーで勝負する店が近年熱い。中でも突出しているのが、ピーク時には青山に異例の行列ができるほどの人気を誇るウマミバーガー。

その名通り、味で違いを生み出すばかりでなく、バーガーレストランと表現するに相応しいインテリアやホスピタリティが受け、1号店の青山では女性客が7割を占めている。

そしてアメリカ西海岸で生まれ、大ブレイクした独自の経営を日本に持ち込み、自身のこだわりも味とサービスに加えながら早くも5号店目の店舗を準備中なのが、社長の海保達洋氏。

読書術もまた独特で、「読む」のではなく「眺める」のが氏のスタイルだという。

「手に取る書物はオールジャンルというかバラバラですが、活字も写真も建築雑誌もマンガも、読むというより眺める感覚で楽しみます。そのほうが感性に素直に響いてくるんですよ。例えば、特に建築を勉強したことはないんですが、たまたま眺めているうちに気に入ったのがヤコブセンです。彼が北欧の偉人であり、建築界や家具の世界に革命をもたらした人だというのは後から知りました」

まずは感性に刺さるかどうか。心が動けば、後から自然と知識や情報が頭に入ってきて一気に夢中になっていく。それは読書に限らず海保氏独特のライフスタイルでもあるようだ。

「私の経歴を知ると皆さん驚かれるんですが、もともとはシステムエンジニアだったんです。その後、ファッションの世界に未経験で入っていき、そして今も食の世界に挑戦中というわけです」

大胆な転身を重ねてきた海保氏だが、決して軽い気持ちでキャリアチェンジをしてきたわけではない。その都度インパクトのある出会いがあったのだという。

「コンピュータに魅せられたのは中学時代。今と違って情報が少ない中、独学でプログラミングを覚え、夢中になっていきました」。

エンジニア歴10年以上。一時は今をときめくチームラボでも働いていたというから、その腕前やセンスはダテではない。

35歳になって技術者としての仕事をやり切ったな、という感覚が押し寄せてくると、今度は迷うことなくファッションの世界へ。海外アパレルやグッズの輸入代理店の経営だった。未経験の事柄ばかりではあったが、海外を飛び回る日々が楽しかったという。

そんな中、2015年に西海岸で出会ったのが米国で大ブレイク中だったウマミバーガー。

「最初は店名の『旨味』という日本語に釣られて入ったんですが、そこでバーガーを一口食べた瞬間に、とりこになりました」ブランド名にするほどこだわった旨味。その味に「ガツンとやられた」のだと海保氏。

「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味。それが味覚の5大要素で、旨味については戦前に日本の科学者が発見し、世界に提唱したことから、英語でもUMAMIと呼ばれるようになったという事実は後から知りました。感覚から先に入るのは、本と向き合う時のスタイルと同じですね。ともかく『こんなに美味いバーガーをぜひ日本にも』という衝動に動かされ、本社オーナーに直談判したんです」

実は当時、ウマミバーガーの創始者も日本での展開を模索していた。

「うま味」発祥の地とも言える日本。食文化の成熟度が高いこの市場でウマミバーガーを、という米国本社の思いと海保氏の直感とがシンクロする形で2017年の1号店オープンに向けた動きが加速していったというわけだ。

結局”本物”を選び愛する仕事も本もメガネも

自らの感性を信じて行動を起こし、出会ったものに惚れ込んだなら、徹底的に没頭して楽しみ尽くす。仕事も読書も、それが海保氏のスタイル。ファッションもまた海保流だ。

かつてその道のプロではあったが、現在ではあれこれ色々と試すのではなく、気づいたら黒シャツ、デニム、アイウェアという3点セットが自分のスタイルとして定着したという。

「メガネは視力を補正する道具ではなく服装の一部なんですよ、私にとっては。黒シャツがクローゼットに何十着もあるように、メガネとサングラスを合わせるとやっぱり何十本も持っています。スタイルは固定しても、アイテムはいろいろ変えて楽しみたい。メガネはそういう私にとっての大切な必需品というわけです」

お気に入りはトム フォード。アセテートとメタルが混在する素材使いや、クラシカルなデザインの中で新しさを見せていく独特の感覚に魅了されているとのこと。

直感を信じつつも、結果として本物に惹かれ、一途に愛し楽しんでいく。仕事も読書もメガネも、やはりこれが海保氏のスタイルなのだ。

<strong>『商店建築』</strong><br />ヤコブセンに限らず建築関係の本や写真集は好きだったというが、現職に就いてからは、より人が集う空間のデザインに目が向くようになったそうだ。ただし読む時の気分は「学ぶ」ではなく、やはり「眺めて喜ぶ」。商店建築社刊。

『商店建築』
ヤコブセンに限らず建築関係の本や写真集は好きだったというが、現職に就いてからは、より人が集う空間のデザインに目が向くようになったそうだ。ただし読む時の気分は「学ぶ」ではなく、やはり「眺めて喜ぶ」。商店建築社刊。

<strong>『ARNE JACOBSEN〜ヤコブセンの建築とデザイン〜』</strong><br />北欧モダンを代表する建築界の巨人ヤコブセンは、エッグチェアなど家具のデザインでも偉大な仕事をしてきた。特にマニアックなファンでなくとも「眺める」読書家にとって、この人の作品集はひたすらに心地いい。TOTO出版刊。

『ARNE JACOBSEN〜ヤコブセンの建築とデザイン〜』
北欧モダンを代表する建築界の巨人ヤコブセンは、エッグチェアなど家具のデザインでも偉大な仕事をしてきた。特にマニアックなファンでなくとも「眺める」読書家にとって、この人の作品集はひたすらに心地いい。TOTO出版刊。

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