トゥールビヨンの誕生を祝う日
ブレゲの2019年新作の発表会が6月の25日、新宿のパークハイアットホテルのヴェネシアンルームで開かれたので出かけてみた。
6月という月はブレゲ社にとってとても重要な月で、なぜなら1801年の6月26日に、創始者アブラアン-ルイ・ブレゲが画期的な脱進調速機構を持つ、トゥールビヨンシステムの特許を取得した日だからだ。
世界のブレゲ ブティックなどでは、その記念すべき日を祝ってコレクターやブレゲファンを招いてのイベントを繰り広げているという。
会場はいくつかのパートに分かれていて、最初にトゥールビヨンの歴史を振り返りながら、新作をショウケースに収めた部屋があり、そこを抜けるとトゥールビヨンのケージにテンプやなどのパーツを組み込む時計師のデモンストレーションがあり、さらにその隣にブレゲの代名詞でもあるギヨシェ模様を工作するマシンと、それを操る職人が、まさに文字盤をギヨシャージュ(斜子彫り)しているのだった。
そしてその鮮やかな手つきに見とれていると「あなたも体験してください」と声がかかり、恐る恐る機会を操作させてもらうと、面白いように波型の模様が削れていくのだった。
もっとも僕の腕前は半人前以下なので、「またスイスに修業に来てください」という嬉しいお誘いも。
もともとギヨシェ模様というのは、宝石箱などの装飾として始められたものだが、美食家としても知られる政治家であったタレーランとの会話の中で、そのような装飾を時計に取り入れられたらという着想を得て、ブレゲは文字盤や時計のケースにギヨシェ装飾をするようになったのだと、スイスから来日したギヨシェ職人が話してくれた。