どんなに優れたモノも、扱い方がまずければ、本来の魅力は決して生きてこないもの。お酒についても同じで、その美味しさは、飲み方次第で開花もすれば半減もするのだ。
ビアアーティスト 茶坊主さん
注ぎ方ひとつで、いつものビールがグッと美味しく
ビアアーティストによるビールの注ぎ方セミナー
大学在学中からさまざまな飲食店で経験を積み、何千、何万というビールを注いできたビアアーティスト・茶坊主さんが、ビールの味や種類といった基本はもちろん、最高のビールを自宅で堪能するための注ぎ方を伝授。3500円〜、詳細は http://souju-sic.com まで。
ほんの少しの差で、味の印象はぜんぜん違います
グラス選びにも実は意味がある。薄手のグラスならすっきりとした味に、厚手のパイントグラスはしっかりした味に感じやすい。また、グラスに余計なニオイがつかないよう、手で洗った後は布などで拭かないほうがよい。
普通に注ぐと左のグラスのように泡立ち、炭酸が抜けてしまう。泡を立てず渦を巻くように注ぐことで、本来の旨みを保つ(右)のが茶坊主氏流。買ったビールは一晩冷蔵庫に寝かせ、開けた後も少し待ち炭酸を落ち着かせる。
上の基本を他の酒に応用してみると、日本酒の印象も、注ぐ盃の厚みや形で少しずつ変わることに気づく。また、ハイボールや缶チューハイもビールと同様に優しく注ぐことにより、本来の美味しさが感じられるそう。正解は人それぞれ、まずは「気づき」を得ることが大切だ。
“高ければ美味しい”と思い込んでいないか?
普段よりちょっとおいしいお酒を飲みたいと思ったとき、「上質(=高級)なモノやお店を選ぶ」のは当然。しかし、そもそも日頃アナタが飲んでいるお酒は、本来のポテンシャルをちゃんと発揮できているのだろうか。アレコレと高級品に手を出す前に、いつものビールをもっと美味しく飲む方法があるのではないだろうか?
いいモノを作るのは作り手だが、目の前のモノの美味しさをきちんと引き出すのはアナタ自身だ。グラスの形やサーバーのみならず、ビールの管理の仕方、注ぎ方ひとつだけで味は変わるもの。最近は上の茶坊主氏をはじめ「よりよい飲み方」を追求するムーブメントが活発化している。思い込みに囚われず、愉しみ方を追求しよう。
[MEN’S EX 2018年2月号の記事を再構成]
撮影/小澤達也 文/甘利美緒
※表示価格は税抜き