プレゼンは資料がきれいとかより、本当に相手を思って提案しているか、情熱が重要だと思います
（山根さん）
加藤いったいどんなプレゼンテーションをされたんですか？
山根「The Impact of Compact」をテーマに、8種類のコンパクトキッチンを展示しました。そのうちひとつはイタリアの有名デザイナーであるアレッサンドロ・メンディーニにもデザインしてもらいました。
加藤それはすごい。なぜコンパクトキッチンに特化しようと？
山根ミラノサローネではキッチン見本市に出展する企業の大半が3メートル幅以上の大きなキッチンを展示しています。でもそんなキッチンが買える人はどの国でもほんの一握りです。そんなときに新聞で”2017年に香港にできた新築物件の部屋は60%が50平米以下だった”という記事を目にしたんです。そうなると、ますます3メートル幅のキッチンは入らない。それに日本でも共働きの家が増えているから「キッチンでそんなにがっつり料理はせえへんな」と。だとしたら、限られたスペースのキッチンをどう美しく見せるのかというソリューションを提供すれば一人勝ちだなと思ったのが、コンパクトキッチンに行き着いた経緯です。うちのオリジナル商品はほとんど日本製で、世界に挑戦するといってもいきなりアメリカやヨーロッパとなると運ぶだけで3ヶ月かかってしまうので、まずは海外での認知度を高めて、販売は中国などのアジアに注力しようと思っています。
加藤ミラノサローネは出展しようと思ってすぐに実現できるものなのでしょうか？
山根そうでもなくて、結構パワーが要りました。最初に出展させてほしいとミラノを訪ねたときは「イタリア家具工業会がミラノサローネを運営しているのに、日本の企業を出展させる意味がない（イタリアの企業が儲からないと意味がない）」というようなことを言われ、諦めかけたんです。でも、うちの会社だって2割くらいはイタリアの商品を買っているなと。そこで「もう一度時間をくれ」とイタリア語で手紙を書いて、京都の高級菓子と一緒に送りました。
加藤イタリア語がおできになるんですか？
山根大学時代に所属学部の交換留学でフィレンツェに1年だけ留学していたんです。あと大学までテニスをやっていて、1年の半分は海外遠征をしていたので、英語はそれなりにできました。そんな中で海外を飛び回る仕事がしたいと思うようになったんですが、商社に受かるためにも、別の言語を取得しようと思ったのが留学のきっかけですね。
加藤テニスはかなりのレベルを極められたんですね。
山根プロを目指していたものの、世界には敵わないと就職活動をしたんです。今は個人としてメーカーと選手契約をさせていただき、朝5時半から7時半まで練習してから出社しています。おおよそ月曜から水曜までは東京、木曜と金曜と週末は家族が暮らす関西を行き来しているのは、自分でもようやるなと（笑）。ただ、テニスの選手契約をしている上場企業の社長は他にいないので、そういうところからもサンワカンパニーに興味を持ってくれる人がいたらいいなと思います。
加藤ミラノサローネの話に戻りますが、結果的にお手紙が功を奏したんでしょうか？
山根そうですね。「社長自ら、イタリア語の手書きで手紙を書いてきた企業は初めてなので、もう一度話を聞く」と返事があって、2回目に現地を訪ねたときも「うちが成長すれば、そちらの輸出額が増え、イタリア企業もより儲かります」とイタリア語でプレゼンしました。プレゼンは資料がきれいとか、わかりやすいとかより、本当に相手のためを思って提案しているのかどうか、情熱が重要だと思います。
サンワカンパニー
株式会社三輪として大阪で創業。2008年に社名を株式会社サンワカンパニーに変更。2013年東証マザーズに株式を上場。現在は東京・大阪・仙台・名古屋・福岡にショールームを展開。
公式ウェブサイト：http://info.sanwacompany.co.jp/
オンラインストア：https://www.sanwacompany.co.jp/shop/
住所：東京都港区南青山2-26-1南青山ブライトスクエア 1F・2F
TEL：03-5775-4763
営業時間：10時〜18時
休館日：年末年始、夏期休業期間
