アメトラの殿堂・ブルックス ブラザーズの他に、数多あるクロージングストアがひしめき合うニューヨークで、MEN’S EX読者なら是非チェックしておきたいクラシックなメンズクロージングストアはどこだろう。
私は渡米前、セレクトショップのバイヤーさんや、現地NYC在住のコーディネーターや読者の方たちにリサーチをした。中でも多く挙がったのは、「THE ARMOURY」と「Drake’s」だ。
今、世界の洒落者が注目する香港発のクラシック名店「THE ARMOURY」
「THE ARMOURY」(アーモリー)は、2010年、香港にてオープンした。共同経営者であるマーク・チョーとアレン・シーは、共に幼少期からクラシックなスタイルを好み、「今、自分たちがカッコいい!」と思うクラシックな服だけを世界から集めてきた。そのセレクトは、英語で”武器庫”を意味する店名の通り、”今”なクラシック服の精鋭ばかり。世界各国の洒落者たちを瞬く間に魅了し、アーモリーのお店そのものも、マークやアレンも、そしてショップスタッフたちのスタイルも、各国のメディアや男性誌に取り上げられている。
今は香港に2店舗を構えるが、マークとアレンは、なぜ、ニューヨークの地にも店を作ろうと思ったのか? マーク・チョーに聞いてみた。
「私は幼少期からロンドンで生まれ育ち、今でもロンドンで過ごすことが大好きなので、最初はロンドンにお店を出そうかと考えていたんです。しかし、アーモリーのオンラインショップの購買者は、その6割がアメリカからで、かつその大部分がニューヨークの方でした。そこで、ニューヨークにも実店舗を出すことにしたんです。最初は、香港と同じような品揃えを心がけていましたが、時が経過するにつれ、徐々にニューヨークの気候やスタイルに合わせて、アプローチを変えていきました。たとえば、ニューヨークは冬によく雪が降りますが、ニューヨーカーは歩くことが大好きなので、ラバーソールの靴を多く置いています。」
アーモリーは、日本のリングヂャケットにもいち早く注目していて、毎シーズン、マークさんは日本までわざわざ展示会に足を運んでいる。その完成度にほれ込んで、リングヂャケットの別注モデルなども作っている。
「リングヂャケットとは、もう8年ものお付き合いになります。アーモリーを立ち上げる前に何点かスーツを購入し、その品質とスタイルが素晴らしいと思いました。市場に出ている他のブランド、特に同じ価格帯のものと比較すると、最高の部類に入ると思います。ですので、アーモリーをオープンする際、リングヂャケットにアプローチして、彼らの国外顧客のうち、最初のいくつかのひとつになりました。そうして関係性が深まるにつれ、アーモリーのオリジナルコレクションも作れるようになり、今では私たちが独自に手配した生地を使った、アーモリー限定モデルも共同開発しました。これらのジャケットは、私たちのベストセラーで、私自身が一番気に入っている商品の1つです!」
また、イタリアのテーラーたちとも親交が深く、オラッツィオ・ルチアーノやフォルモーザ、リベラーノ&リベラーノなどの名門サルトを招聘し、年に何度かオーダー会を開催。またイタリアだけでなく、テーラーケイドやスピーゴラといった日本のメーカー・職人たちもNY店オープン当初からオーダー会に招聘されていた。
「ニューヨーカーたちは、自分たちが暮らすところより遠いところからきたもの、とりわけエキゾチックなものに惹かれる傾向があります。そのため、日本のテーラーケイドや、スピーゴラの職人さんたちも、とても人気があるんです。ニューヨーカーはイタリアンスタイルにはかなり慣れているので、少し違ったものも求めているのだと思います」