「ブルックス ブラザーズ」勤続40周年のマエストロとは——?
ブルックス ブラザーズのマディソン本店
は、長らくブルックス ブラザーズに務め、ブルックス ブラザーズ愛に溢れた「Mr.ブルックス」なスタッフがたくさんいるのも特徴だ。
とりわけ、本店4階のメンズスーツフロアの奥にある「PESONAL SHOPPER」のコーナーを担当するマリオ・ミラベラさんは、ブルックス ブラザーズに勤続40年という、マディソン本店の主、といっても過言でない存在だ。
マリオさんは、その名の通りイタリア生まれで、イタリア語も堪能。その昔、お父さんもイタリアのブルックス ブラザーズでマスターテイラーを務めており、その手腕が評価されてNY本店に抜擢、2歳の頃、一家でNYに移住してきたそうだ。 そうして幼い頃から、ブルックス ブラザーズというブランドに身近に触れていたマリオさんご自身も、20歳のとき、1977年からブルックス ブラザーズにて働き始めた。今やマディソン本店の最重要人物といっても過言でない、パーソナルショッパーのマスターテイラーになってからは14年が経つ。ちなみにマリオさんご一家、お父さんだけでなくお母さん、双子のお兄さんもかつてブルックス ブラザーズで働いていて、さらに現在マディソン本店のストアマネージャーのアルフレッドさんも、実はマリオさんの甥っ子という、もう一族ブルックス ブラザーズのために生きてきたようなファミリーなのだ!
取材当日、マリオさんが着ていたのは少しスリムなフィットの「ミラノ」モデル。”Fit is the most important aspect!”が信条のマリオさん、「動きやすさも重要だが、スーツはタイトなフィッティングがカッコいい。顧客にはいろいろな体型の人がいますが、その人その人の体型を生かしながら、なるべくスリムでカッコよいドレススタイルを作ってあげることが目標です」。
そうしてお話を聞いている間にも、「Good Morning, Mario!」と重要顧客の俳優さんがオーダー中のスーツのファーストフィッティングにやってくる。テキパキとフィッティング調整をしながら、その合間にも「仕上がったスーツに合わせるならこんなシャツやネクタイ、いや、これもカッコいいかな・・・・・・」なんて相談もしっかり行い、俳優さんも信頼するマリオさんとのセッションを楽しんで帰られた様子だった。
「タイトでカッコよくありながら、より動きやすく着やすいスーツにするために、カスタムスーツは2回のフィッティングを行います。仕上がりまでは約6週間。私は20歳のときにブルックス ブラザーズに入って、まず、プレッサーの仕事から始めました。父の仕事を見て、そして自分でもここで働くようになって、どんどんDRESSの世界が好きになっていきました。今のこのマスターテイラーという仕事にも、本当に誇りを持っています。アメリカはもちろん各国大統領、政府や大使館の方々、俳優さんなど、世界各国から400人以上のお客様が私を訪れてきます。彼らの一人一人をブルックス ブラザーズのスーツによってもっとカッコよくすること、それは私にとってチャレンジであり、喜びなのです」