「リーダーたちの本とメガネ」日本野菜ソムリエ協会 福井栄治氏

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リーダーたちの本とメガネ

リーダーとしてビジネスを牽引する男たちが愛読する本&愛用するメガネ。そこには日夜厳しい競争の中で奮闘する彼らの思考法やビジネス哲学が宿っている。

福井栄治氏

Profile

日本野菜ソムリエ協会
福井栄治氏

1963年生まれ。京都府出身。大阪府立大学卒業後、日商岩井(現・双日)入社。2001年に日商岩井を退職し、日本ベジタブル&フルーツマイスター協会を設立。翌年、理事長に就任。’10年、日本野菜ソムリエ協会に名称を変更する。著書に『野菜ソムリエの美味しい経営学』『野菜ソムリエという、人を育てる仕事』など。


How toではなくモチベーションを学ぶ

商社でエリート街道を歩み、その後、食への問題意識から起業。「野菜ソムリエ」という資格を世に送り出す日本野菜ソムリエ協会を設立した福井栄治理事長に読書観を訊ねてみると、「投資」というキーワードが浮かび上がってきた。

「当然ながら、一人の人間に与えられている時間は限られています。だからこそ、私は何かをするとき、漫然とはやりたくない。本を読むのであれば、自分を成長させてくれるものに対して時間とお金を注ぎ込みたいと思っています」

そう話す福井氏が投資として愛読するのは”起業本”が多いという。彼が企業人から一念発起して起業家になったことを思えばわからなくはないが、では、氏がそれを手に取る目的は何だろう。やはりHow toを知るためだろうか。

「正直言って、How toは参考にしていません。たとえば、今、ソニーの盛田さんの手法に倣ったところで上手くいかないでしょう。手掛けている事業も、社会的背景も違うのですから。ならば、なぜ読むのか? モチベーションを学ぶためです。起業にトラブルはつきものでして、壁にぶち当たる度にくじけそうになるんです。それが起業本を読むことによって、その心理状態から脱却する術を知ることができる。そこに私は何度となく救われました」

福井氏は起業本を”リトマス試験紙”に喩える。著者が自分と同じ悩みを抱えていれば共感し、また、それをクリアできたと知れば、自分もまだまだやれると己を奮い立たせる。自分の在り方を、起業本を通して検証するのだそうだ。

「商社時代の先輩にあたる折口雅博さんが上梓された『起業の条件 若者文化からビジネスを生み出す方法』は特に印象に残っています。『起業家にとって、起業して1億円を稼ぐ組織を作ることは難しい。もっと難しいのは、1億円を稼ぎながら起業当初の志を持ち続けること』というくだりにはグッときました。日本野菜ソムリエ協会は前身の日本ベジタブル&フルーツマイスター協会から数えると今年で17年目を迎えます。野菜ソムリエの資格取得者数は全国で約5万4000人になり、おかげさまで定着してきましたが、これをずっと継続し続けていかなければ。まさに今後の課題です」

福井氏は「リアリティを感じられるものこそが最上のエンターテイメント」とも語る。愛読書の中には起業本のほかに小説も含まれるそうだが、超ヒット作『ハゲタカ』で知られる作家・真山 仁、あるいは城山三郎、高杉 良、服部真澄などが著した経済小説ばかりに惹きつけられるという。

起業家が孤独である、とはよく言われることだが、その孤独から逃げず、ビジネスに対する不安などのネガティブな感情を上手く処理し、楽しみに変えていけるのが成功する人なのかもしれない。

掛けるメガネには意味を持たせたい

さて、冒頭で「何かをするとき、漫然とはやりたくない」と力を込めた福井氏は、メガネ選びについても同様の見解を持っている。

「ゼロから起業すると、事業を率いる人間そのものの印象が、組織やビジネスのイメージになりかねません。そのため、私は常にセルフプロデュースを意識しています。日本野菜ソムリエ協会が発足した当初は胡散臭いと思われないように、私の経歴も大学や商社の実名を入れていました。服装はベーシックなスーツ、メガネは銀縁のもの。まともであることを伝えようとしました。現在は、野菜ソムリエが世の中に浸透し、協会は次のステージに進んでいる。今後は新たな価値を創造していかなければいけない。TPOを意識しながら、エッジが立っている感じを私のメガネからも発信していきたいですね」

その話を聞いて合点がいった。福井氏の活動を追うと、たとえば出演するメディアによってもメガネを掛け変えている。戦略的なのだ。

「気づいたら夢が実現していた、なんてことはまずありえない。メジャーリーグに行く野球選手やオリンピックでメダルを獲る選手は、小学校の卒業文集でその夢を綴っているものです。もちろん書いたからといって実現するとは限りませんが、書かなかったら絶対そうはならない。目的意識をきちんと持つべきだと思いますね」

BOOK

現実に根差した世界観が
モチベーションの源泉となる

GLASS

起業家はセルフプロデュースが大事。
その小道具としてメガネは有効



[MEN’S EX2018年06月号の記事を再構成]
撮影/岡田ナツ子 取材・文/甘利美緒 イラスト/佐藤 剛

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Feb.&Mar. VOL.319

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