自由な時代にこそ知っておきたい
スーツ&ジャケットの着こなしNEWセオリー 50
【JACKET編】
休日の昼下がり、緑が美しい中庭を眺めながら、解放的なティーラウンジで優雅なひとときを楽しむ ── こんな場面に臨むとき、自然とジャケットに手が伸びる人は、間違いなく心が豊かな紳士だ。羽織るだけできちんと見える便利さからビジネスカジュアルの主役と捉えがちだが、そこから一歩先へ進んで、「楽しむ服」としてジャケットを捉えてみよう。すると、貴重なプライベートタイムもいっそう贅沢なものに感じられる。なにげない所作も、自然とエレガントになる。そして他人から見れば、どんなときも周りへの配慮を欠かさない、ウェルマナーな人物に映るだろう。そう、ジャケットとは、あらゆる意味で「豊かさ」の象徴なのである。
【NEW THEORY 49】
スーツ&ジャケットの現代基礎用語を学び直す [は行〜ら行]
伝統的な仕立ての技から、ストレッチやウォッシャブルといった今どきの機能まで。用語を知れば、一着に込められた工夫や進化が見えてくる。現代のスーツ&ジャケットを理解するための基礎知識を、改めて押さえておこう。
は行
【 バーティカルポケット 】
パンツの脇に垂直方向に設けられたポケット。すっきりとドレッシーに見える。

【 パーマネントクリース 】
パンツのセンタークリースが消えにくいよう加工した仕様。端正な折り目を保ちやすく、手入れの手間も軽減する。
【 パッカブル 】
小さく畳んで持ち運びやすいよう設計された仕様。軽量性やシワへの強さを備え、出張や移動時にも便利。
【 バックルループ 】
パンツの前腰部分に付く小さなループ。ベルトのバックルが横へずれるのを防ぐ。
【 バルカポケット 】
小舟のような緩やかなカーブを描く胸ポケット。ナポリ仕立てでもおなじみのディテール。
【 パンチェリーナ 】
パンツのウエスト内側に設けられた持ち出し状のパーツ。腰まわりの収まりを安定させる。
【 ビルトアップショルダー 】
袖山を高く盛り上げ、肩先を強調した仕立て。構築的で力強い肩線になる。
【 Vスリット 】
パンツのウエスマン後ろ中央に入ったV字形の切れ込み。ウエストへかかる負荷を逃がす。
【 フォブポケット 】
パンツの腰まわりに付く小さなポケット。かつて懐中時計を収めたことから、ウォッチポケットとも呼ばれる。
【 フラワーホール 】
左ラペルに設けられたボタンホール。もとは生花を挿すためのディテール。
【 プリーツ 】
パンツ前部に入れられた折りひだ。1本ならワンプリーツ、2本ならツープリーツ。
【 ベンチレーション 】
衣服内の熱や湿気を外へ逃がすための通気構造。脇や背中などに工夫を施し、暑い時季の快適性を高める。
【 ベント 】
ジャケット背面の裾に設けられた切れ込み。中央のセンターベントと、左右のサイドベンツが代表的。
【 本切羽(ほんせっぱ) 】
ジャケットの袖口に実際のボタンホールが開けられ、ボタンを開閉できる仕様。
ま行
【 前肩 】
肩線や袖付けを人体の前方向へ振った設計。身体に沿った自然なフィットを生む。
【 マーベルト 】
パンツの腰裏に付けられる帯状のパーツ。ウエストを安定させ、シャツのずり上がりを抑える。
【 マニカカミーチャ 】
イタリア語で「シャツの袖」の意。シャツのように柔らかく袖を付ける、ナポリ仕立ての代表的なディテール。
【 胸ぐせ 】
胸まわりに立体感を出すため、前身頃の生地をアイロンワークなどで成形し、身体の丸みに沿わせる仕立ての技法。
【 持ち出し 】
パンツの前開きから内側へ伸びる、ウエストの重なり部分。ホックなどで留め、腰まわりを安定させる。
ら行
【 ラペル 】
ジャケットの前身頃から折り返された下襟部分。ノッチドラペルとピークドラペルが代表的。
【 リラックスフィット 】
身体にぴったり沿わせず、胸や腰、パンツのワタリなどに適度なゆとりを持たせた現代的なシルエット。
【 リンクルフリー(防シワ) 】
着用や持ち運びによるシワを付きにくくした機能。長時間の着用や出張時にも端正な見た目を保ちやすい。
【NEW THEORY 50】
「男は、服を賢く選び、丁寧に着たら、
あとはそのことを忘れているように見えるべきだ」
―― ハーディ・エイミス
“A man should look as if he had bought his clothes with intelligence,put them on with care and then forgotten all about them.” – Hardy Amies
1964年に名著『ABC of Men’s Fashion』を刊行した、英国を代表する服飾デザイナー、ハーディ・エイミス。その言葉を最後にお届けしよう。装いのルールを知ることは大切だが、それはあくまで基本。ウンチクに凝り固まらず、お洒落を楽しむ気持ちも忘れずに。
[MEN’S EX Autumn 2026の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み





