888psのパフォーマンスとクラフツマンシップを融合。ブランド第4のモデルとして登場した新世代SUV
ベントレーは2026年9月、ブランド初の完全電気自動車「トルカル(Torqall)」を世界初公開した。ブランド第4のモデルとして新開発されたSUVで、単なる既存車の電動化ではなく、これからのベントレーを示す新世代モデルという位置づけだ。
前後に永久磁石同期モーターを配した電動パワートレインは、高性能版の「S」では最高出力888ps/最大トルク1350Nmを誇り、0→100km/h加速はわずか2.9秒を実現する。しかし、ベントレーが目指したのは、数字だけを競う電動スーパーカーではない。過激な加速がラグジュアリーカーとしての快適性を損なわないよう、意のままに扱えるリニアで洗練されたパワーデリバリーを追求したという。113kWhの800Vバッテリーを搭載し、WLTP航続距離は最大約600kmとされた。
シャシーも新世代にふさわしくベントレー初となるフルアクティブ・サスペンションを採用し、各ダンパーを瞬時かつ個別に制御。さらに最大5度の後輪操舵を備え、全長約5mながら最小回転直径を11.1mに抑えた。フライングスパーに匹敵する快適性と、コンチネンタルGT スピードに並ぶダイナミック性能を一台で実現することが開発の狙いだ。
デザインも、BEVだからと未来感だけを強調してはいない。ロングホイールベースとショートオーバーハング、伸びやかなボンネットによってベントレーらしい堂々としたプロポーションを構築。イルミネーテッド・ダイヤモンドグリルには歴代モデルの意匠を現代的に取り入れ、張り出したリアフェンダーはデザインチームが「レスティング・ビースト(佇む野獣)」と呼ぶ力強さを表現している。
室内では、レザーやべニア、アルミニウムといった伝統的な素材に新たな解釈を加えた。物理スイッチをあえて残す一方、世界初という100%メリノウールの自動車用ファブリックなど、新しい素材も積極的に導入する。さらに興味深いのが走行サウンドだ。かつての6¾リッターV8の鼓動に着想を得て、ドラムやヴィオラ、ベースギターなど実際の楽器を演奏して制作した「ベントレー・ダイナミック・シンフォニー」を採用。単なるエンジン音の模倣ではなく、ドライバーとクルマを結ぶ新たな感覚的フィードバックとしている。
標準モデルの「コア」(821ps/1194Nm)とスポーティな「S」の2モデルを設定。107年にわたり、圧倒的なパフォーマンスと英国のクラフツマンシップを磨いてきたベントレー。その伝統を新たな時代へどう受け継ぐのか。トルカルはその答えを示す大きな転換点となる一台だ。
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