旅の目的がビジネスであれ、せっかく中欧を訪れたのなら一か国だけで終わるだけではもったいない。歴史、芸術、街並み、食……心躍る体験を求めて、もう一歩、足を伸ばして知られざる都市へ行こう。ブダペストから鉄道で約8時間。チェコの首都、プラハへ。冬の空気に包まれて歩いたこの街には、知的好奇心を満たす出会いがたくさんあった。
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歴史と革新が交差するプラハ
赤い屋根が連なる旧市街や天文時計、カレル橋に漂う中世の面影は、街全体を屋外博物館のように彩る。一方で、現代建築やデザインが息づき、古い建物の中に最先端の文化が共存する姿も印象的だ。ヴルタヴァ川の流れのように、過去と未来が静かに溶け合い、訪れる人に新たな発見と創造の刺激を与えてくれる街である。
まずはプラハのランドマーク、そして世界一美しい図書館へ
プラハの中心、観光名所を代表するのが、旧市街広場にある旧市庁舎に設置された天文時計だ。1410年に建設した世界最古の天文時計で、600年以上にわたり修復を重ねながら動き続けている。この時計は単なる時間表示だけでなく、天文学的な情報や歴史的背景を伝える重要な文化財でもある。天動説に基づく複雑な文字盤で太陽・月・星座の動きを示し、毎正時には「12使徒のからくり」が動き、時を知らせてくれる。
天文時計から歩いて数分に位置するクレメンティヌムは、プラハの旧市街にあるバロック建築複合施設。13世紀に創立された修道院を基盤とし、大学、天文台、図書館として歴史を重ねてきた。現在は国立図書館として機能しており、天文塔、鏡の礼拝堂などがある。中でも2階にある、世界一美しいと称されるバロック様式の図書館ホールは、天井に描かれたフレスコ画、壁一面に貴重な資料が並び、確かに時が止まっているようだった。ここを目的に、観光客が整理券を求めて早朝から並ぶほど。
図書館から急な階段を上ると、360度プラハの街が一望できる展望台がある。赤茶色の屋根が連なる旧市街の向こうにはプラハ城も。歴史と文化が重なり、街全体が博物館のよう。
祖国チェコを愛した芸術家。「ミュシャ美術館」がリニューアル
チェコ出身の世界的に有名なアール・ヌーヴォーの巨匠、アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。1900年代末のパリで、当時最も有名なフランス人女優サラ・ベルナールの劇場ポスターをデザインし世界的に有名に。ミュシャは女性を中心とした幻想的なイメージが特徴。
ミュシャ財団が培ってきた作品を1フロアで展示。これまで展示されていなかった初期の油絵や手描きのデッサン、またミュシャのフリーメイソンへの関心を示す資料や研究資料など、幅広いコレクションが公開されている。今回、館内を案内してくれたのはミュシャのひ孫であり、ミュシャ財団のエグゼクティブ・ディレクターを務めるマーカス・ミュシャ氏。マーカス氏は早稲田大学に留学経験もあり、流暢な日本語で丁寧に解説をしてくれた。
フランク・ゲーリー、ザハ……古都に溶け込む現代建築の妙
プラハの中心を流れるヴルタヴァ川のほとりに、中世の世界遺産の街で一風変わった現代建築がある。その名はダンシングハウス。建物のシェイプが男と女がダンスをしているように見えることに由来している。手がけたのはカナダ人建築家のフランク・ゲーリーとヴラド・ミルニッチ。1996年に建てられた当時は保険会社のオフィスとして使われ、現在はホテルやレストランやオフィス、美術館などが入っている。
1996年の完成時は、その奇抜なデザインに賛否両論があったが、30年を経た現在ではプラハに新たな息吹をもたらした現代建築のアイコンになっている。実はこの旅の最中(2025年12月)、偉大な建築家が急逝した。日本では新国立競技場のデザインでその名が広く聞かれたザハ・ハディド。彼女が2022年に手掛けたのが、チェコ・プラハの複合ビル「マサリチカ」だ。曲線を描くファサードをはじめ、大胆なカーブラインなど、この街でもひときわ異彩を放つランドマークだ。
流線型、幾何学的な曲線、そしてダイナミックな三次曲面で構成される外観は、まさにザハ。ただ、芸術的な美しさだけでなく、構造効率や環境性能を考慮した、現代的かつ機能的な公共空間や施設を生み出している。チェコ国鉄のマサリク駅と一体化し、地下の鉄道ホームへのアクセスを向上。プラハの交通拠点にある新しい市民スペースへのアクセスを可能にした。
2026年、ミシュラン獲得!?チェコ料理のいまを味わう
チェコ料理はドイツやオーストリアの影響を受けた肉料理が特徴。牛肉のグラーシュ、鴨のロースト、そしてじゃがいもや、もちもちした蒸しパンクネドリーキが主食として添えられるのが定番。味付けは素朴でマイルドないので日本人にも好まれやすく、チェコワインやビールと非常によく合う。
今回のプラハ滞在で最も楽しみにていたのが、天文時計真向かいにあるレストラン「420」。チェコの食文化を現代的に再構築したレストランで、ミシュランガイドに名を連ねるシェフ、ラデック・カシュパレクが手掛けている。世界中のさまざまな珍しい食材を取り入れたりするなど、ユニークなメニュー構成で顧客を飽きさせず、地元の人々に愛されるレストランだ。
メイン料理の伝統的なガチョウのローストにはスープのようなパプリカソースを、そしてモラビアチーズとハーブを効かせたフレッシュな“ポテサラ“がついてきた。皿の上では美食のショーが繰り広げられ、遊び心に溢れる。そのバランス感覚は、この都市そのものを映しているかのようだ。店内はカジュアルでありながら、洗練された雰囲気。フレンドリーなスタッフが出迎えてくれるので、観光客も気軽に立ち寄れる。
別のレストランでいただいたビールが面白かったので紹介しよう。チェコビールの「ムリーコ(Mlíko)」(写真手前)。ピルスナーウルケルなどの高品質な泡を持つビールを、ほぼ100%きめ細かいクリーミーな泡だけで提供するチェコ独特の注ぎ方だ。チェコ語で「ミルク」を意味し、その甘くまろやかな風味とデザートのような食感から、飲み会の締めや乾杯の1杯として親しまれているそう。これならコーヒー替わりに昼から一杯……OK!?
ビジネス利用にも便利なホテルは?
今回、滞在したアルマナクX アルクロン プラハは、ビジネス出張にも、観光にも理想的なホテルだった。プラハ中心部、ヴァーツラフ広場至近という抜群の立地により、主要オフィスや商談先への移動もスムーズ。上記で紹介した観光名所へも、トラムやバスで5~10分、徒歩でも20~30分と散策に最適だ。
シンプルで洗練した客室のほか、館内には会議室やイベントスペースも備え、打ち合わせや商談の利用にも良さそうだ。仕事の後は1階のレストランやバー、ウェルネス施設で心身をリフレッシュ。朝食時には一人で利用するビジネスマンも多く見かけた。
旅の目的になる。イスタンブールでトランジット
トルコといえば、食事の美味しさ、人柄の良さを感じさせる温かなサービスなどがパブリックイメージだ。そんなトルコのフルサービスキャリア、ターキッシュ エアラインズといえば、イスタンブール空港にあるビジネスラウンジが有名だ。プラハから羽田空港への帰路でトランジットの際に、「ターキッシュ エアラインズ Miles&Smilesラウンジ」を利用させてもらったが、レイオーバーの間、洗練された居心地の良い空間でリラックスでき、乗り継ぎも非常にスムーズ。ビュッフェのフードやドリンクが多種多彩に並び、シェフが目の前で調理してくれるトルコ料理を堪能した。
深夜帯に立ち寄った際は、トルコ風ベーグルのシュミットとトルコティーを頂き、イスタンブール市内に立ち寄った気分に浸れた。時間帯に関わらず豊富なメニューが揃い、ラウンジ全体も清潔感があって広く開放的。ゆったりと寛げるソファ席が多く、2~3時間はあっという間だ。ラウンジも空港の中心にあり、巨大ハブ空港でのトランジットもスムーズ。多くのビジネスマンがターキッシュ エアラインズを選ぶのか、納得だ。
膨大なフライトネットワークや柔軟なルート選択、そして「フライング・シェフ」に代表されるユニークな機内体験にいたるまで、単に目的地から目的地へと乗客を運ぶ以上の価値を提供している。ラウンジのような高品質な地上サービスと、細部まで考え抜かれた機内サービス。その両立こそが、快適さとクオリティを保証する「完成された旅」を作り上げているのだ。
個人的に感じた大きな魅力は、イスタンブールを拠点に多くの就航先へ行けること。2026年現在、日本からは成田空港、羽田空港、関西空港とイスタンブールを結び、そこをハブに、ヨーロッパや中東、アフリカなど世界132か国へ就航している。さらに、ターキッシュ エアラインズでイスタンブールを6〜24時間以内で乗り継ぐ場合、無料の観光プログラム「ツアーイスタンブール」が利用できる。空港到着後に専用カウンターで申し込み、事前にオンライン予約も可。アヤソフィアやブルーモスクなどの名所を無料の送迎・食事付きで観光できるのだ。ひとつの路線の席を取ることで、トルコに立ち寄り、美味しい食事や観光を追加できるというのは、楽しみがまるで2倍である。私も時間さえ許せば、1泊ぐらいイスタンブールでトルコ料理やモスク巡りなどの旅を追加したかった。それはまた、次の旅で…!
>>欧州路線が充実。ビジネスマンがターキッシュ エアラインズを選ぶ理由【ブダペスト編】
取材協力/ターキッシュ エアラインズ、Czech Tourism Board、Prague City Tourism
Text/Mayumi Urayama(MEN’S EX)





