ホテルステイの羅針盤にコンシェルジュサービスを。
専用デスクを設置するホテルが増え、その活用の機会が広がっているコンシェルジュサービス。そのサービスの真髄と哲学を、実例を交えて頼り方まで、帝国ホテルのチーフコンシェルジュ・秋本さんに伺った。

帝国ホテル チーフコンシェルジュ
秋本与野さん
13年という長いコンシェルジュ歴を持ち、部門創設期から在籍。2025年4月より日本コンシェルジュ協会の会長に就任。
「ご本人でも気がつかないニーズを満たすお手伝いをいたします」── 秋本さん
滞在中の不安や迷いを拭い、要望にきめ細かく応えてくれるコンシェルジュサービス。だがその仕事は単なる手配にとどまらない。声にならない本音を見極め、最善の一手を導くホテルステイの“羅針盤”のような存在なのだ。
「私たちは言葉で頂くご要望の“もう一歩先”を捉えることを大切にします。共通の話題でアイスブレイクし、背景やパーソナリティを素早く掴む。会話を重ねれば、ご本人でも曖昧だったニーズが輪郭を現します。日本のコンシェルジュ文化は1997年のレ・クレドール ジャパン創設以降に本格化しましたが、活用に長けていらっしゃるのは海外のお客様が中心。日本の方にも、海外ゲストとの会食などで積極的に頼ってほしいですね。食事制限やヴィーガン対応の有無も踏まえ、安心して使える店をご案内します。私は店に足を運び、車椅子導線や段差、席の雰囲気まで自身の目で情報を集めることを心がけていますが、情報が溢れる今こそ、こうしたローカル情報を提供できるかが肝心。人の対話でしか汲み取れない本音に応え、『この人がいるから安心して泊まれる』と言っていただける存在でありたいです」
こんな相談に対応したことも……
かつてのペンフレンドを探す外国のお客様をお手伝い
出張では会食や手土産の相談が多いものの、観光客の方のなかには、“襖や鯉を自宅に買って帰りたい”といった特別な依頼があることも。また秋本さんは、60年ほど前に日本でペンフレンドだった人を探したいという外国人ゲストの対応をした経験もあるという。多岐にわたる要望への対応力もコンシェルジュには欠かせない力だ。
[MEN’S EX Winter 2026の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)





