
移動の後はオフィスに、店舗に、シアターに。自由な発想が都市の景色を変えていく
トヨタ自動車は9月、様々なモビリティサービスに対応するBEV「e-Palette(イーパレット)」の販売を開始した。単なる移動手段ではなく、店舗やオフィス、さらにはエンターテインメント空間へと姿を変える「移動のプラットフォーム」としての提案である。
全長4950mm、全高2650mmという堂々たるサイズに、2800mmを超える室内長を備えた車内は、フラットな床と大開口スライドドアにより圧倒的な自由度を誇る。朝はシャトルバス、日中は移動型ショップ、夜は没入型シアターと、用途に応じて1日の中でも役割を変える。そのマルチユース性こそ、従来の“クルマ”という概念を超える所以だ。
アクセシビリティへの配慮も徹底されている。低床設計と電動スロープにより、歩道高さ15cmでも車いす利用者が介助なしで乗降可能。ワンタッチ固定装置を備えるなど、ユニバーサルデザインの思想が随所に息づく。
さらに、自動運転にも対応。現行モデルはレベル2相当だが、2027年度にはレベル4準拠システムの実用化を目指す。車両制御インターフェースにより多様な開発会社の自動運転キットを搭載可能とし、冗長化による信頼性の確保にも抜かりがない。
先進装備も目を引く。次世代の操舵感覚を実現する「ステアバイワイヤシステム」、車内外のデジタルサイネージ、安心降車アシストや室内監視カメラなど、安全と利便性を両立する技術が惜しみなく投入された。航続距離は約250km、急速充電で40分程度と実用性も高い。
価格は2900万円(税込み)からだが、環境省による補助金の対象となり、1500万円超の助成が受けられる(2025年9月15日時点)。まずは「TOYOTA ARENA TOKYO」や「Woven City」での導入が予定され、移動型店舗や輸送サービスなど多面的な活用が検討されている。
e-Paletteが提示するのは、「移動=移動手段」という既成概念を覆すモビリティの未来像。都市の風景に新たなリズムを刻むこの一台は、トヨタが目指す“すべての人に自由な移動を”というビジョンに貢献する1台となるであろう。
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