いまやすっかりブームからジャンルに定着した、腕時計界の一大トレンド「ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)」。入手困難な弩級モデルから、手の届くラグスポテイストモデルまでを1冊にまとめたバイヤーズガイド『ラグジュアリースポーツウォッチ大全』から、その中身をご紹介しよう。
レトロフューチャーデザインが美しい流線型の最新ラグスポ
H. MOSER & CIE.(H.モーザー)
ストリームライナー・センターセコンド マトリックスグリーン

【SPEC INFORMATION】
ケースサイズ:40mm ケース素材:ステンレススティール ブレスレット:ステンレススティール 巻き上げ:自動巻き 搭載キャリバー:Cal.HMC 201 防水性能:12気圧 振動数:毎時2万1600振動 パワーリザーブ:72時間
価格:391万6000円

2020年発表モデルをアップデート
スイス・シャフハウゼン出身の時計師ハインリッヒ・モーザーによりロシアで創設されたH.モーザー。ロマノフ王朝のロシアで成功を収め、故郷に戻ってシャフハウゼンの発展にも寄与するが、ハインリッヒの死後、ロシア革命による財産没収とクォーツショック、2度の危機によって歴史にいったん幕を閉じる。しかし2000年代に復活し、スイス有数の時計一族メイラン家が経営を担ってからは、希少価値の高い時計を意味する“Very Rare”をコンセプトに順調に業績を伸ばしてきた。そして、新生ブランドのもうひとつのテーマ“Less is More(少ないほうが豊か)”を体現したコレクションがストリームライナーだ。
1920〜30年代の車や高速鉄道のデザインに着想を得たストリームライナーは、ケースにブレスレットが統合された流線型デザインが特徴。腕にフィットする有機的形状の一体型ブレスレットは滑らかなラインを備え、一つひとつのコマがまるで生き物のように動くことで着け心地も抜群に。流れるような全体のフォルムが美しく、ブラッシュとポリッシュを使い分けた仕上げも見事である。
また、ブランドを象徴するフュメダイヤルに“マトリックスグリーン”を採用した人気モデルがダイヤルデザインなどをアップデートして新登場。スーパールミノヴァ®を注入したセラミック化合物“グロボライト®”を配した針と繊細なバーインデックス以外は、余計な装飾を排したミニマルデザインに上質なレトロ感が漂う。12時位置にはクリアラッカー仕上げのブランドロゴが秘密の署名のようにあしらわれ、ブランド名さえ主張しないLess is Moreの精神を体現している。
このマトリックスグリーンのほか、新色ブルーエナメルモデルは新ムーブ搭載でケースも小型化。いずれも美しい流線型のレトロデザインが味わえる。