いまやすっかりブームからジャンルに定着した、腕時計界の一大トレンド「ラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)」。入手困難な弩級モデルから、手の届くラグスポテイストモデルまでを1冊にまとめたバイヤーズガイド『ラグジュアリースポーツウォッチ大全』から、その中身をご紹介しよう。
誕生から50年超、原点にして頂点の元祖ラグジュアリースポーツ!
AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)
ロイヤル オーク オートマティック

【SPEC INFORMATION】
ケースサイズ:41mm ケース素材:ステンレススティール ブレスレット:ステンレススティール 巻き上げ:自動巻き 搭載キャリバー:Cal.4302 防水性能:5気圧 振動数:毎時2万8800振動 パワーリザーブ:約70時間
価格:412万5000円

入手困難なベーシックモデル
1972年に誕生し、のちにラグジュアリースポーツと呼ばれる人気ジャンルの礎を築いた偉大なパイオニア、ロイヤル オーク。金無垢時計の製作を中心に行っていた名門ブランドが手がけた初のステンレススティール製モデルであり、斬新でスタイリッシュなデザインは発表から半世紀以上を経ても色褪せない。その誕生の背景には、当時のCEO ジョルジュ・ゴレイの英断、ジェラルド・ジェンタの天才的なデザイン力があった。
ジェンタが潜水士のヘルメットに着想を得たビス留め8角形ベゼル同様、デザイン面におけるロイヤル オークの象徴が「タペストリーダイヤル」である。このタペストリーはただの思いつきではなく、精巧に設計された台形が連なることで、それぞれの面が四方から光を反射して文字盤を輝かせる。さらに中央にいくほど間隔が狭くなるため、光の反射がより複雑になるのだ。現行では「グランドタペストリー」に進化を果たし、オリジナルの“ナイトブルー、クラウド50”以外にも、シルバーやブラックなど文字盤カラーが充実するのも魅力といえる。
また、本作の個性を引き立てるのが、サテン&ポリッシュ仕上げが美しいケース一体型ブレスレットだ。ケースと同じくジェンタの発案によるこの斬新かつ複雑な装備は、“一体型メタルブレスレット”という新たな概念を生み出し、ラグスポの特徴であるドレッシーな10.5mm厚の薄型ケースに多大な貢献を果たす。
現行ロイヤル オークが搭載するのは、2019年に開発された自動巻きキャリバー4302。径が拡大され、以前の6振動から8振動/秒となり精度が向上、パワーリザーブも約60時間から約70時間に向上。誕生から50年以上経ても進化を止めず、現在も頂点に君臨し続けるロイヤル オークはその丁寧な作り故、生産数が限られ、入手が難しいモデルとなっている。