私が好印象を抱いたビジネス紳士の身だしなみ

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綿谷画伯の記憶に残った名画に学ぶ

「映画はお洒落の良き教科書」と語る、ご存じ綿谷 寛画伯。その膨大な脳内アーカイブの中から、M.E.世代のビジネスマンが参考にできそうな名優2名のシックで粋な着こなしを教えていただいた。

ジョージ・ハミルトン

正統を理解した上でのNY流クラシックスタイル

MEN'S EX M.E. 一人目は 『ゴッドファーザーPART3』のジョージ・ハミルトンですか。渋いチョイスですね。確かファミリーの弁護士役でしたね。


綿谷さん 綿谷 舞台は1970年代後半。ちょうどNYのデザイナーが台頭してきた頃で、彼はそのうちの一人であるアラン・フラッサー的な着こなしをしている。要は英国紳士の正統的スタイルと、米国的なパワーエリートのスタイルをミックスした感じ。控えめだけれど、すごく押し出しがいいんです。若い人はともかく、エグゼクティブと呼ばれる人なら参考になる部分がいっぱいあると思います。


MEN'S EX M.E. なかでもとくにM.E.読者におすすめのコーデはありますか?


綿谷さん 綿谷 ファミリーの豪邸でのパーティシーンで濃紺のダブルに赤小紋タイを締めているんですが、シャツは白ではなくグレー。それだけでフォーマルなムードが高まっています。こういう合わせを日本人はあまりしませんが、とてもシックで素敵です。


MEN'S EX M.E. 簡単そうですから、ちょっとしたパーティに試したいですね。


綿谷さん 綿谷 あと彼は小物使いが抜群に上手。劇中ずっとラウンドカラーのシャツを着ていますが、必ずカラーバーで襟元を留め、胸ポケにはチーフを独特の挿し方で入れている。しかも胸ポケには懐中時計もしまい、チェーンのTバーをラペルホールからチラリ。この懐中時計のつけ方もスノッブで痺れる。この人、銀座のクラブに行ったら絶対モテますよ(笑)


ジャック・レモン

トラッドとモダンのMIXは今の気分にも通じる

MEN'S EX M.E. 続いて画伯推薦の着こなしは、『幸せはパリで』のジャック・レモン。敏腕証券マンという役柄ですね。


綿谷さん 綿谷 こちらも舞台はニューヨーク。製作された1969年はアメリカントラッドがすでに下火で、ファッションが変わり始める時期。そんな時代にアメトラスーツを着ている彼はちょい野暮な男という設定。勤める会社の社長に「もう少しマシなタイはなかったの?」なんて言われたりして。でも細部に目を転じるとジャケットはガチのボックスシルエットじゃなくてウエストを若干絞っていて、少しモダンな匂いもする。またアメトラだとパンツにベルトループは必須なのに、なぜかベルトレスパンツを穿いているし、靴もメダリオン付きのモンクストラップ。そのチョッとひねった塩梅がなんか粋なんです。


MEN'S EX M.E. ファッションの過度期ならではのアレンジというわけですね。


綿谷さん 綿谷 一方社長はぐっとコンテンポラリーなスーツを着ているんだけれど、こちらはこちらで、シャツはピンクのボタンダウンを合わせるなどトラッドなテイストも残している。こっちもカッコいいんだよな。


MEN'S EX M.E. どちらの着こなしも、今の気分と一脈通じているような……。


綿谷さん 綿谷 そうなんです。ガラリとすべてを変えなくとも、ちょっとしたミックスで装いは新鮮になるし、その人らしい個性も表現できる。この映画に登場する時代の狭間の着こなしは、それを改めて教えてくれますよ。





[MEN’S EX2018年04月号の記事を再構成]
撮影/野口貴司(San・Drago)、若林武志、岡田ナツ子、松崎浩之スタイリング/四方章敬、宮崎 司(CODE) ヘアメイク/松本 順(辻事務所) 構成・文/伊澤一臣 文/秦 大輔、長谷川 剛(04)、安岡将文、星野勘太郎、酒向充英 撮影協力/七彩、丸の内マイプラザ

2024

VOL.341

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