【今月のインタビュー】俳優・野村 萬斎さん、『七つの会議』を語る

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池井戸 潤作品の中でも人気の高い『七つの会議』が映画化。主演を務める野村萬斎さんは、サラリーマン役は初めて。役を通して萬斎さんが感じた"サラリーマン"観、そしてビジネスファッションとは?

野村萬斎

言わば、殿様が家老を集めて会議をしている平成の時代劇。会社組織の中で、"自分たちはまだ封建制度の中にいる"

野村萬斎

野村萬斎

Profile
1966年、東京都生まれ。3歳より祖父の故・六世野村万蔵、父・万作に師事。'70年『靱猿』で初舞台。'94年、曽祖父・五世野村万造の隠居名「萬斎」を襲名。同年、文化庁芸術家在外研修生として渡英し、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで学び、'95年帰国。狂言以外の活動も精力的に行い、'99年、『藪の中』の演出で文化庁芸術祭演劇部門新人賞受賞。2002年、世田谷パブリックシアターの芸術監督に就任。テレビドラマ、映画にも多く出演。主な映画の代表作に、『陰陽師』『のぼうの城』など。

ジャケット12万3000円/ラルディーニ、ストール4万円/アンドレアズ ディチャノーヴェクアランタセッテ、パンツ3万4000円/ PT01(以上ストラスブルゴ)その他〈スタイリスト私物〉


狂言師の自分にとって、衣装は役作りの重要な要素

「この映画は中小企業を舞台にした、まさに"平成の時代劇"。"自分たちは、まだ封建制度の中で働いているんだ"ということを痛感しました」と語るのは野村萬斎さん。池井戸 潤原作の企業犯罪ミステリー『七つの会議』で、自分流の正義を貫こうとするサラリーマン・八角民生を演じている。

「八角を演じて思ったのは、会社組織の中の"サラリーマンは大変!"、その一言に尽きます。ノルマ達成は会社の正義ですが、それがいつしか自分の正義になってしまい、仕事のために人の道を踏み外しても気づけなくなってしまう。でも八角は、権力に押さえつけられながらも、地に足をつけて考え、自分の正義を守ろうとします。その姿勢にはとても共感しました。ある意味、現代のヒーローだなと」

実は萬斎さん、サラリーマン役を演じるのは初めて。
「現代劇はナチュラルさが大事なので、撮影前は芝居が大げさにならないようにと考えていました。でも撮影初日から、共演者の皆さんがフルスロットルで顔相撲合戦を仕掛けてきた(笑)。あの熱量の高い芝居のキャッチボールは、テンションが上がりましたね。また、僕が関わる映画はいつも女性の出演者が少ないのですが、今回は離婚した妻役の吉田 羊さんや、朝倉あきさんとの場面があって嬉しかったな(笑)。監督やスタッフにもその時の演技が大変好評だったんですよ(笑)」

八角は組織の枠に収まらない奔放さと、企業悪に立ち向かう強さを持つ人物。そんな二面性のある役作りのために、萬斎さんがまず手をつけたのが衣装だ。

「サラリーマンはネイビーやグレーのスーツが多いけれど、八角は社内で浮いている存在なので周りと馴染みすぎないように、また彼が抱えている問題も考慮して、監督に黒のスーツを提案しました。というのも、僕にとって衣装の色やデザインは、役作りをするうえで重要な要素。狂言師は自分で衣装を管理し、揃え、舞台に上がります。身につけるものからも役を作り込んでいくので、その感覚が自然に身についているんですよね」

それは私服のコーディネートにも活かされているそう。
「例えば狂言で、大名役はフォーマルなので、衣装はツートーンの裃かみしも。洋服ならスーツになります。でも、僕は従者の太た郎ろう冠か者じゃ風に、ジャケット、インナー、ボトムスを3色以上使って着たり、柄と柄を組み合わせたりと、少し砕けた道化っぽい感じにするのが好きです。難易度が高そうに思われますが、自慢じゃないけど、僕は誰も似合わないような服が似合うとよく言われるんですよ(笑)」

常にビシッとしている印象だが、オフは何をしているのだろう。
「帰宅が深夜になることも多いので、風呂に入って、ビールを飲みながらテレビの深夜番組を見たりしています。普通のおじさんですよ(笑)。このところは、マツコ(デラックス)さんを見かける確率が高いですね(笑)。世の中のトレンドを、世相を切りながら伝えてくれるので興味深く拝見しています」

『七つの会議』

『七つの会議』

サラリーマンの胸を打つ、池井戸 潤原作の企業犯罪エンターテインメント
きっかけはパワハラ騒動。サラリーマン・八角民生を演じる野村萬斎と、脇を固める香川照之、及川光博、片岡愛之助、北大路欣也など、豪華俳優陣との芝居合戦は必見!

原作:池井戸 潤
監督:福澤克雄
2月1日(金)より全国東宝系にて公開

関連記事:池井戸 潤・原作。働くことの正義を問う、サラリーマン必見の企業サスペンス映画『七つの会議』

※表示価格は税抜き
[MEN'S EX 2019年2月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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