エディター小曽根広光さんのこの夏の楽しみとは?

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エディター小曽根の
日本の山リゾートで楽しむ夏のロマン服体験記

小曽根広光 Profile
小曽根広光
1984年生まれ。新卒でM.E.に配属されて以来本誌に関わり続け、気づけばすっかり古参部員に。今年四十の声を聞き、光陰矢の如しを実感するこの頃。


ここでなら、憧れの欧州紳士になれる!と気づいた喜び。

風景

メンズクロージングの世界には、“ロマン服”とでも称すべきアイテムが数多く存在します。ジェントルマンシップを象徴し、服好きなら誰もが惹かれるエレガンスを宿しているのに、気候や文化のギャップゆえ日常生活に取り入れるのが難しい服のことです。私にとって、その最たるもののひとつが“サマーツイード”でした。

「イギリスやアメリカ東海岸の人は、夏にもツイードジャケットを着るんです。といっても秋冬ものとは素材が違って、リネンやコットンにシルクやウールなどをブレンドして、サラリとした肌触りとツイード調の風合いを表現した生地を使っているんですよ」

15年ほど前、そんな解説とともにサマーツイードの名を初めて耳にした私。実際その生地に触れ、軽やかでいてドライな未体験のタッチを知った瞬間、“これは着たい!”とすっかり虜になってしまいました。……が、実際それを手にすることはつい最近までありませんでした。夏でも朝晩は涼しいヨーロッパで着るなら最高なんだろうけれど、毎日うだるような熱気に包まれる東京の夏にはちょっと無理があるかなぁ……と感じたのがその理由です。

当時は収入のほとんどを服に注ぎ込み、食や旅にはほとんど関心を持てなかった私。しかしワードローブがある程度充実し、そのぶんライフスタイルに目を向ける余裕が出てくると、知らない場所を訪れ、その土地が育んだ食事を味わう贅沢さに心惹かれるようになりました。そしてある夏、軽井沢の某リゾートホテルを訪問(仕事でしたが……)。クルマを降りた瞬間に感じた空気の涼しさに、避暑地の恵みを感じました。と同時にピンと来たのです。「ここでならサマーツイードを着られる、憧れの欧州紳士になれる!」と。そしてついに今年、憧れのサマーツイードジャケットを初めて手にしました。どうせならと奮発してビスポークし、生地はドラッパーズのウール・シルク・リネンに。夏らしく、ちょっと派手めなブルーグレーのグレンチェックを選びました。これを着て出かける避暑旅行は、今までにない満足感を味わえるだろうと今から心躍っています。

思うにサマーツイードジャケットとは、衣食住遊をバランスよく楽しむ大人になってこそ着こなせる服ではないでしょうか。着倒れから脱して旅の豊かさを知った私にも今、ようやくその境地が見えてきたのかなと感じています。大人になるって、楽しいものですね。

 
【右】HACKETT LONDON【左】MILA SCHÖN MILANO

【右】HACKETT LONDON(ハケット ロンドン)

英国ブランドならではの王道サマーツイードJK
素材はリネン58%+コットン42%。ハリコシと光沢、さらりとした手触りが魅力的な一着だ。ブリティッシュブランドらしく端正な立体美を感じさせつつも仕立ては大変ソフト。13万2000円(ヴァルカナイズ・ロンドン)

【左】MILA SCHÖN MILANO(ミラ・ショーン ミラノ)

シルク100%ならではのラグジュアリー感を満喫
こちらはシルク100%でラグジュアリーな着心地。茶系のハウンズトゥース柄がカントリーテイストを醸しつつ、美しい光沢がエレガンスも演出している。ドレープの表情も絶品だ。15万4000円(トレンザ)



[MEN’S EX Summer 2024の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
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