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今、話題のビスポークテーラー平野史也さんが
ユニバーサルランゲージのスーツを監修!
クラシックファンのみならず、モードやカジュアルファッション好きな若者からも憧れのまなざしを集め、テーラード・クロージング業界に革命を起こしつつある平野史也さん。そんな風雲児が監修した既製スーツが、なんとユニバーサルランゲージから発売するというサプライズ! 背景には、「ブリティッシュ・ビスポークスタイルの魅力を、一人でも多くの方にお伝えしたい」という平野さんの想いがあった。気になるそのメイキングストーリーを、スーツ好きスタイリスト・四方章敬さんも招いてじっくりとご紹介しよう。
ビスポークテーラー
平野史也さん

1985年生まれ。大手セレクトショップで勤務中にビスポークスーツの美しさを目の当たりにし、テーラーになることを決意。国内2軒のテーラーで修業を積んだのち、2012年に渡英。サヴィル・ロウの超名門でカッターに抜擢される。2015年に独立し、ロンドンで「フミヤ ヒラノ ビスポーク」を創業。2020年に日本へ拠点を移し、西麻布にサロン兼アトリエをオープンさせる。2022年には既製パンツブランド「フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ」をローンチし、スーツファン以外にも大ヒット。
スタイリスト
四方章敬さん

1982年生まれ。2010年に独立し、M.E.をはじめ数々の雑誌でメインスタイリストを務める。大手セレクトショップやブランドのカタログ、シーズンビジュアルでもスタイリングを担当するほか、近年は服作りにも着手。英国ヴィンテージにインスピレーションを求めつつ、豊富なスタイリング経験を活かして巧みに時代性を表現したパンツやシャツなどがベストセラーとなる。スタイリスト業界随一のスーツ好きとしても有名で、国内外の超有名店でビスポークも経験。
FUMIYA HIRANO×UNIVERSAL LANGUAGE


M.E. ビスポーク業界で今、最も注目されている作り手の一人・平野さんが、ユニバーサルランゲージのスーツを監修されるとは驚かされました! きっかけは、平野さんがあるインタビュー記事で何げなく発した一言だったとか?
平野 そうですね。英国スタイルの魅力をより多くの方々に知っていただくため、オーダーメイドという枠に囚われない挑戦をしていきたいという趣旨のお話をしたのですが、それをユニバーサルランゲージさんに拾っていただきました。ハンドメイドのビスポークから始めて、これまでファクトリーメイドのメイド トゥ メジャーや既製服にもチャレンジしてきたのですが、これだけ大きな規模感でスーツ作りに携わるのは初めて。価格帯も5万円台〜という過去にないレンジだったのですが、しっかりと監修をさせていただければきっといいものができるという予感がありましたので、喜んでお引き受けさせていただいた次第です。

M.E. そんな力作をレビューいただくため、今日はこれまで数千着のスーツに触れてきた四方さんにもお越しいただき、実際に今、サンプルを着用いただいています。感想はいかがですか?
四方 平野さんといえば正統派のブリティッシュスタイルがベースというイメージがあり、このスーツを見たときも英国的な印象を受けました。でも、実際に袖を通してみると着心地が軽い! これは意外でした。
平野 おっしゃるとおりです。カッティングやデザインに関しては、私が普段仕立てているハウススタイルに極力近づけました。ただ、着心地に関してはより軽やかさを重視してアレンジを行なっています。見た目ではブリティッシュ・ビスポークの雰囲気を表現しつつ、着心地の面では幅広い方にとって親しみやすいバランスを叶える。そんなバランスを目指しました。
英国のビスポークスーツらしさを取り入れたディテールとは?

四方 なるほど。具体的にはどんなところがポイントですか?
平野 たとえば肩回りですね。今日私が着ているビスポークスーツの場合、柔らかく仕立てつつも立体美を演出するため肩パッドを入れているのですが、今回のスーツではパッドを省くことで着心地をより軽くしています。とはいえ英国らしさをしっかり残すため、たれ綿を袖山のところに入れて見た目の構築感はキープしました。
四方 確かに、袖山のキリッとした膨らみはイタリア系スーツと一線を画す雰囲気ですね。
平野 肩パッドなしでもキャンバス芯を広く据えて、ペラペラした雰囲気にならないよう注意しました。あとは襟や身頃のカッティングですね。生産システムの都合上、ビスポークと全く同様というわけにはいかないのですが、それでもファクトリーにはかなり頑張ってもらいました。価格帯も考慮すると、いい着地点を見つけられたのかなと思います。
四方 第2ボタンから裾にかけてのラインがとても印象的ですよね。程よく左右に流れていて、体形を問わず着こなしやすい。それでいて、なんというかスラッ!としていますよね。ウエストから裾までの距離が長いのかな?
平野 そうなんです。英国のスーツはウエスト位置を高めに設定するのが特徴で、私もその伝統を踏襲しています。いっぽう着丈に関しては、現在の一般的な既製服よりも長め。結果として第2ボタンから裾までの距離が長くなり、伸びやかな印象を演出しているというわけです。

四方 後ろから見ても、高い位置でウエストの絞り込みがキュッと入り、そこから裾にかけてスラリと流れるようなラインを描いています。とても英国的で、独特のエレガントさを感じますよね。
M.E. 普段、四方さんはイタリア系のスーツを着ることが多いと思うのですが、こういったブリティッシュスーツに袖を通してみて、率直にどう感じましたか?
四方 “オレ、ブリティッシュも似合うじゃん!”って感じですね(笑)。英国のスーツって、たくましさや凛々しさ、端正な気品などが特徴だと思いますが、そういった魅力がしっかり感じられて、とても新鮮な気分を味わえました。それでいて着慣れない違和感のようなものは全く感じず、ごく自然に着られたのが自分でも驚きです。そこはやはり、ただ英国仕立てをなぞるのではなくて、平野さんならではのフィルターを通しているところが大きいのかなと思うのですが。

平野 そう言っていただけると嬉しいですね。ビスポークで私のハウススタイルを確立させるうえでも、サヴィル・ロウで学んだ仕立てをいかに日本人体形へフィットさせるかが大きな命題でした。そこで得られたノウハウを、このスーツにも取り入れているんです。たとえば、上襟のノボリ。伝統的な英国仕立ての場合、イタリアのように襟をノボらせることはしないのが普通です。しかしそれだと、体形によってはフィットしにくい場合もある。ですので私のスタイルでは、襟をノボらせているんです。
四方 なるほど! だから着慣れない感じがしなかったわけですね。先ほどお話しいただいたように、着心地の面でも鎧のようなガッチリした感じではなくて、とても軽やかに仕上げられている。キリッと端正だけれど堅苦しさを感じないところもいいと思いました。
こだわりのポイントをおさらい!
パンツにもブリティッシュの魅力が凝縮!

M.E. さて、次にパンツも詳しく見てみましょう。やはりブリティッシュだけあってインプリーツなんですね。
平野 そうですね。ビスポークの場合は2インプリーツに仕立てる場合も少なくないのですが、今回はより多くの方にマッチするよう1プリーツにしました。アウトプリーツとは腰回りの表情がかなり違うと思いますが、四方さんの印象はいかがですか?
四方 僕、インプリーツのパンツってすごく好きなんです。プリーツからセンタークリースに繋がるラインがカーブを描く方になるので、それがちょうどいいアクセントになるんですよね。
平野 そのとおりですね。ちなみに、近年はイギリスのブランド以外でもインプリーツを採用したパンツがしばしば見られますが、伝統の英国仕立ての場合、プリーツの起点を内側寄りに設定するのが特徴なんです。もちろんこのスーツでも、その伝統を踏襲しています。

四方 本当だ、言われてみると、プリーツの上端が中心に寄っていますね。このほうがインプリーツならではのカーブが強調されて、魅力が際立ちます。やっぱり本場仕込みは違うなぁ。
M.E. 全体のシルエットについてはどうですか?
四方 股上やや深め、ワタリや膝にも適度なゆとりがあって、クラシックな魅力を感じますね。個人的にこれくらいのバランス、とても好みです。
M.E. クラシックシルエットを標榜しているスーツでも、結構スリムなパンツが多いですもんね……本当のクラシックスタイルをお求めの方にはぴったりなのではないでしょうか。

平野 全体のシルエットについても、ブリティッシュスタイルのバランスを基準に設定しています。ただ、裾幅については少しだけ絞っていますね。といってもイタリアもののようなテーパードではありません。四方さんがお召しのA6サイズで、裾幅20.5㎝。通常のユニバーサルランゲージよりは広く、私が展開している「フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ」よりは細いというバランスです。
四方 ズドンとしたストレートレッグはムードがあって格好いいですけれど、やはり体形を選ぶところがありますもんね。いい塩梅だと思います。僕もスタイリストとしてたくさんのパンツを見ていますが、意外とありそうでなかったバランスかもしれません。
ほかにもこんなこだわりポイントが!
生地は日本が誇る「尾州」から厳選

M.E. 続いて生地のお話を。スーツの仕立て映えを決定づける要素だけに、ここにもこだわりが秘められていそうですが……
平野 生地についても私がセレクトしました。イメージしていたのは、やはり英国的な表情を再現できるもの。とはいえ、英国製の生地を使うと価格が跳ね上がってしまうので、日本を代表する服地の名産地・尾州のメーカーから選んでいます。ここの生地は英国の特徴と共通するところが多いんですよね。しっかり目を詰めて織り上げるので質実剛健な印象となり、仕立て映えするハリ感もある。仕上がりを見ても、いい表情になったなと思います。


四方 大きく分けると2種類の生地があるんですね。僕が今、着ているのがウールモヘア。華やかな光沢とパリッとしたテクスチャーはモヘア混ならではですが、ジャリジャリせず着心地が柔らかいですね。
平野 そうですね。ウール60%×モヘア40%ということでモヘアの混率高めなのですが、比較的ライトウェイトなものを選んでいるので硬さは感じにくいと思います。キッドモヘアを使用していることもポイントですね。実は私が今日着ているスーツもモヘア混なのですが、こちらは“アダルトモヘア”という成獣の毛が使用されています。こちらのほうが重厚な印象ですよね。
四方 そうですね。個人的にはこの重厚感も魅力的ですが、ビジネススーツとしての使い勝手を考えると、キッドモヘアはいい選択だと思います。


M.E. そしてもう1種類が、先染めウール100%のヘリンボーン生地ですね。
平野 はい。こちらもオーセンティックな生地ですね。先染めですので、奥行きのある発色や風合いを味わっていただけると思います。トレンドを追うというよりは、長く普遍的に愛用いただける一着をイメージして生地を選びました。
M.E. こういうさりげない表情がある無地は、着こなしやすさと洒脱さを両立した使い勝手のいい生地ですよね。ちなみに四方さんとしてはどうコーディネートするのがおすすめですか?
四方 こちらのヘリンボーンもウールモヘアもそうですが、こうした正統派のスーツこそベーシックに着るのが今、格好いいと思います。英国らしいアンダーステイテッドな魅力が漂うスーツですので、シャツタイも盛りすぎず、控えめだけれどエレガントなスタイリングにまとめるのがいいのではないでしょうか。

ファクトリーにも直接足を運んで作り込みました
M.E. 今回のスーツはユニバーサルランゲージのスーツを長く手がけているミャンマーのファクトリーで生産されていますが、現地まで平野さんが足を運んだそうですね?
平野 はい、現場の様子や生産体制を見させていただいて、いろいろとアドバイスやリクエストをさせていただきました。ユニバーサルランゲージとは長年の取引があるファクトリーなので、基本的には安心して任せられたのですが、やはり今回のスーツは既存のコレクションとは型紙も仕立てもかなり違いますから、そのあたりのポイントについてすり合わせをさせていただいた次第です。プロトタイプのサンプルを4〜5回上げていただき、少しずつ完成度を高めていきました。
M.E. ところでこのスーツ、5万円台〜なのにフルキャンバス仕立てなんですね。本格的!
平野 正確にいうと、接着芯とキャンバス芯を併用した仕立てになります。ビスポークの場合は毛芯のみを手縫いで据えていくわけですが、こちらの場合は薄い接着芯をつけてからキャンバス芯を据えることで、美しい立体感と生産の安定性を両立させているのです。
四方 とてもコストパフォーマンスの高いスーツですね。

四方 平野さんとお会いするのは今日が初めてだったのですが、とても楽しくお話しさせていただきました。ブリティッシュスーツ、改めていいですね!
平野 最近は状況も少し変わってきつつありますが、やはりまだまだ世の中はイタリア系スーツの比率が高く、特に既製品においては圧倒的主流といえます。私も実はもともとイタリア服好きだったので、その魅力はよくわかるのですが、ビスポークに憧れてスーツを研究するうち、気づけばブリティッシュスタイルにすっかりハマっていました。スーツにもいろいろなスタイルがあって、それぞれに格好よさがある。今回のスーツを通して、そうしたことを少しでも広められたら嬉しいですね。



撮影=若林武志 スタイリング=四方章敬 取材・文=小曽根広光