2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。
オメガで学ぶ
クロノグラフのパーツの名称
ムーブメントの基礎用語
【1】分積算計歯車
30分積算計針を動かす歯車。後述する秒クロノグラフ車【3】の0位置に備わる突起が1周するごとに、この分積算計歯車に接合する中間車を1歯ずつ押し回し、分積算計歯車を順に送っていく。
【2】ハートカム
秒・分の各積算計針が載る歯車に固定される、その名の通りハートに似た形状をしたカム。リセットボタンを押すと、ハンマー【6】がバネの力でこれらのカムを叩き、各針を0位置にまで戻す。
【3】秒クロノグラフ車
ダイヤルのセンターにあるクロノグラフ秒針を動かす歯車で、1分間で1周する。スタートボタンを押すとクロノグラフ中間車【4】と接合し動きはじめる。その際、滑らかに接合するよう、歯数が多い。
【4】クロノグラフ中間車
クロノグラフのクラッチを司る歯車。常に回転しているクロノグラフ駆動車【5】と噛み合って動き続け、スタートボタンを押すとスライドして秒クロノグラフ車【3】に接合し、ストップ時には離れる。
【5】クロノグラフ駆動車
スモールセコンドを動かす歯車と同軸に設置されていて、常に動き続けている。クロノグラフ作動時には、クロノグラフ中間車【4】を介して香箱からの駆動力を秒クロノグラフ車【3】に伝達する。
【6】ハンマー
リセットボタンを押すと作動するレバー。リセット操作時には、レバー先端がハートカム【2】を叩くため、ハンマーと呼ばれる。その際、ブレーキレバー【7】を解除する方向に動かす役割も持つ。
【7】ブレーキレバー
作動中のクロノグラフをストップさせた際、クロノグラフ中間車【4】から切り離された秒クロノグラフ車【3】の外縁に接して、その動きを完全に止める。リセット時には、ハンマー【6】で跳ね上げられる。
【8】コラムホイール
歯車上に複数の柱(ピラー)が備わるパーツで、別名ピラーホイール。各操作時、一定方向に回転し、ハンマー【6】や主作動レバー【9】などの終端が歯車に噛み合ったり、柱に乗り降りし、機能する。
【9】主作動レバー
スタート・ストップボタンにつながるレバー。その一方の終端のツメ(主作動ツメ)が、コラムホイールの下側の歯車部分に引っかかっていて、プッシュボタン操作時に、コラムホールを回す。
【10】カップリングクラッチ
スタート・ストップ時に、クロノグラフ中間車【4】と秒クロノグラフ車【3】との接合・解除を行う装置。この終端のツメがコラムホイールの柱の上下に動くことで、クロノグラフ中間車【4】を移動させる。
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『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ【複雑時計編】』
定価:2,420円(税込)
発⾏・発売:株式会社世界⽂化社
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