セミ複雑機構のしくみ⑨アニュアルカレンダーとは?

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2022年に刊行された『世界一わかりやすい 腕時計のしくみ』の第2弾として、「複雑時計編」が発売となった。本書ではここ数年ブームが続いている複雑時計に絞って、その魅力的な機能や難解に動く「しくみ」を、とにかくわかりやすく解説。奥が深いさまざまな複雑機構のしくみをご紹介しよう。

カレンダーの調整は1年に1回だけ
ANNUAL CALENDER(アニュアルカレンダー)

懐中時計の時代から日・曜日・月の暦表示が備わるトリプルカレンダーや、それにムーンフェイズを追加したコンプリート(フル)カレンダーは存在していた。パテック フィリップは1996年、これらのカレンダー機構に、月末が30日と31日の月を自動的に判別する機構を与え、アニュアル(年次)カレンダーの名で特許を取得した。極めて利便性が高いカレンダー機構は、その後他社も追随。今では複数のブランドがラインナップしている。

アニュアルカレンダー
月と曜日表示をインダイヤル、日付を窓表示としたパテック フィリップの年次カレンダーモデルの一例。ムーンフェイズも備わり、122年に1日の誤差という高精度を誇る。

パテック フィリップで学ぶ
アニュアルカレンダーの読み方・使い方

大の月と小の月を判別し暦の調整は3月1日だけ

現在の世界基準であるグレゴリオ暦には、大の月(月末が31日)と小の月(月末が30日)が存在し、さらに2月は例外的に月末が28日で、閏年には29日となる。また月の大小も交互ではなく、7月と8月は大の月が連続する。結果、通常のデイト機能は頻繁に表示がずれ、その都度調整するのが煩わしい。

アニュアルカレンダーは、月の大小を自動で判別し、正しく暦を進めてくれる実用性に優れた機構だ。暦の調整が必要となるのは、月末の数字が例外となる2月末日の翌日、つまり3月1日だけ。その際、曜日とムーンフェーズは調整不要で、日付と月表示を進めるだけでいい。

パテック フィリップ「年次カレンダー 4947」
「年次カレンダー 4947」。絹織物にも似た縦横にラインが入るブルーダイヤルの上で、3つのインダイヤルを絶妙なバランスで配置。各表示の視認性は極めて高い。
パテック フィリップ「年次カレンダー 4947」内部
自動巻きだから毎日着けていれば1年間、暦はズレない。そのムーブメントの仕上げは完璧。ケースサイドに埋め込まれた4つのコレクターで、それぞれの暦表示を調整するしくみだ。

2024

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