高い=高級ではない! 名⾨スイス製からお馴染み国産時計まで、30万円以下*で買える傑作時計150本超を掲載した絶賛発売中のムック『U(アンダー)30万円で一生使える傑作腕時計150』。その中身をピックアップしてご紹介。
*税抜き・2022年9月現在
【注目のU30万円モデル】
キングセイコー SDKS001
SEIKO(セイコー)
1960年代に国産高級時計市場を席捲した名門ブランドが復活
セイコーは1950年代後半、さらに機種を広げるとともに国産時計の最高品質を追求すべく、1960年代に入ると、組立・調整・外装など当時最高の技術を投入した画期的な2つのモデルを生み出した。その先陣を切ったのが1960年誕生の国産時計の最高峰「グランドセイコー」であり、もうひとつがその翌年に登場した「キングセイコー」である。
グランドセイコーがスイス・クロノメーターに準拠する最高品質と精度をもち、販売価格が2万5000円(当時の大卒初任給の約2倍)だったのに対し、キングセイコーは1万2000円〜1万5000円。しかしながらキングセイコーはけっしてグランドセイコーの廉価版などではなく、同じセイコー社内の異なる生産拠点(前者が亀戸の第二精工舎、後者が諏訪精工舎)で生まれた、機能・デザインとも高級時計の風格に満ちたモデルだった。
そして今回、ついにそのキングセイコーが復活を遂げた。デザインに採用されたのは、1964年に発売された第2世代の“KSK”。初代にはなかった防水性能や秒針停止装置を備え、エッジを際立たせたシャープなケース、ボックス型のガラス風防など、キングセイコーデザインのオリジナリティを確立した1本である。
このモデルではオリジナルのコンパクトサイズや基本デザインを踏襲しつつ、現代的な要素も取り入れている。ボックス型風防は無反射コーティングのサファイアクリスタル製となり、文字盤には多面カットを施した立体インデックスと長く太い針を配して視認性を確保。また、ブレスレットは鏡面・ヘアライン仕上げを使い分けたフラットな7連仕様で、象徴的な“盾”デザインのロゴもモダンにして裏蓋とリューズに刻み込んだ。
誕生から60余年、愛好者の間で長く復活が待ち望まれていたキングセイコー。その“幻の名作”を手に入れる時が来た。