SUITS OF THE YEAR 2022
ビジネス部門
初のJリーガー出身で、歴代最も若い49歳でJリーグの6代目チェアマンに選出。すぐさま58クラブの視察を行い、国や自治体、企業と密に連携しながらJリーグ新時代のために邁進する野々村芳和さん。その精力的な活躍に本賞を授与する。
“サッカーは作品”を信条にJリーグの変革を目指す
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ チェアマン
野々村 芳和
野々村 芳和(ののむら・よしかづ)
1972年静岡県生まれ。慶應義塾大学卒業後、’95年にジェフユナイテッド市原(当時)に加入し、ミッドフィルダーとして活躍する。その後移籍したコンサドーレ札幌(当時)では、チームをJ1昇格に導く。選手引退後サッカー解説者として活躍していたが、2013年に札幌の社長に就任。’22年3月15日より日本プロサッカーリーグチェアマンを務める。選手出身チェアマンは野々村さんが初。
“多くの人が熱量を持って見守る試合をどれだけ作れるか”
端正なネイビースーツに、大柄のドットタイとクレリックシャツを合わせ、親しみやすい印象の野々村芳和さん。普段からスーツは、さりげなく遊び心を感じさせる着こなしを好むそうだ。それはJリーグチェアマンとしての活躍ぶりともどこかリンクしている。就任するやいなやJリーグ公式TikTokでダンスを披露。最近もJリーグ公式YouTubeでトーク番組の配信を開始した。
「やれと言われたらなんでもやるのが私のスタンス。今の時代、サッカーの魅力を広めていくには当然SNSを活用することも大事ですから」
昔と比べてJリーグの試合が地上波で中継される機会は減っているが、そこについては解決策を見出していると持論を展開する。
「サッカー好きはDAZNやCSで試合を観てくれていて、東京ではよくわからないかもしれないが、地方のクラブはローカルの情報番組でよく取り上げてもらっています。現に僕が社長をやっていた北海道コンサドーレ札幌は、ホーム主催ゲームのほとんどを生中継してもらえている」
Jリーグは1993年の開幕時は10クラブだったが、3部制となった現在は58クラブが所属。それぞれがそれぞれのやり方で、地域のシンボルになって欲しいというのが野々村さんの願いだ。そのため就任から半年間で全58クラブの視察を行い、地域連携の課題を洗い出した。
「東京だけでサッカー文化を盛り上げようとしても話にならない。全国区の華やかなクラブが牽引したのは昔の話。これからは勝ち負けを越えたところで地域に貢献するクラブ、そしてそのクラブがいるからこそ幸せだと感じてくれるファンを増やしていきたいと考えています」
野々村さんはサッカーはひとつの「作品」という言葉をよく使う。質の高いプレー、スタジアムの空気や環境、そしてサポーターの熱量が一体となることで、魅力や美しさが生まれるという考え方だ。
「地域との連携に力を入れているクラブであれば、熱量を持った多くのサポーターを集客できる。そうなれば下のカテゴリーのクラブでも良い作品を作れるんです」
今年5月、J3のAC長野パルセイロと松本山雅FCが戦った“信州ダービー”には、スタジアムいっぱいの1万3000人が集まった。
「声出しもできない中、観客の熱気はJ1以上でした。僕も現地でサッカーって凄いなと改めて感動した。こういう良い作品を毎週末作るのがリーグの使命。地域、そして日本全体を元気にするためにも、サッカーの力を信じて頑張っていきます」
「野々村さんにとってのスーツとは?」
特別な服であるのと同時に個性演出のパートナー
AZABU TAILOR(麻布テーラー)
正統派クラシックのネイビースーツでリーダーにふさわしい凛々しい姿に
上品な艶感の生地はロロ・ピアーナの“オーストラリス”。スーパー150’s素材のため非常にしなやかでドレープも美しい。ハイゴージで腰シェイプ位置も高い「クラシコイタリア」モデルにてオーダーしたことで若々しくスマートな雰囲気もあり、行動的チェアマンに相応しいスーツ姿となっている。
※表示価格は税込み
[MEN’S EX Winter 2023の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)