大人の日常生活は、微妙なピンチの連続です。適切な言い訳を繰り出して、自分を守りつつ周囲のストレスを最小限に抑えましょう。
今月のテーマ
SNSの内緒のアカウントがなぜか後輩にバレた……
ハンドルネームで、笑えるネタやポエムを呟いていたSNSのアカウント。周囲には内緒にしていましたが、ある日、後輩がスマホの画面を見せながら「この『肉なし牛丼』っていうアカウントの人、〇〇さんですよね」と図星を突いてきました。
いったん言葉に詰まってしまったからには、「何のこと?」とトボケても、相手は確信を深めるだけです。幸い、仕事上の秘密や過激な主張は書いていません。どう反応すれば、こっぱずかしさを最小限に抑えられるのか。
腹をくくって素直に認める道もありますが、そうしたら後輩は「へえ、意外な一面があるんですね」と、ニヤニヤしながら冷やかしてくるのは確実。弱みを握られることにもなります。ここは、影武者を立ててしまいましょう。
「ああ、それね。うーん、昔からよく知っている人のアカウントらしいんだけど、恥ずかしいこと書いてるよね。ナニ考えてるんだろうね」
そう言って、相手を戸惑わせた上で、「その人、いつだったか『俺はアカウントがバレると体が溶けてしまうんだ』って言ってたっけな。だから、誰にも言わないであげて」
と、釘を刺します。黙っていてくれる保証はありませんが、「あ、この話題には触れてほしくないんだな」と察してくれるはず。願わくば、安易に指摘した無神経さを反省してほしいところですが、それは難しいかも。
バレてしまった以上、もう伸び伸びとは楽しめません。逆の立場の場合、見て見ぬフリをしてあげるのが大人のやさしさです。
言い訳の極意
見え見えのウソによって
バツの悪さをごまかしつつ
きっちり釘を刺しておく――
それもまた言い訳なり
[MEN’S EX 2021年10月号DIGITAL Editionの記事を再構成]