モデル MR.DAVIDが感動した掟破りの[ミックス仕立て]
モデル業界No.1のクラシック服好きであるデヴィッドが、最近完成したジャケットに感動。その理由は驚きの“掟破り”にあった。
DAL CUORE FOR BRYCELAND’S(ダル クォーレ フォー ブライスランズ)
フロントダーツのないクリーンな前身頃に注目
原宿のブライスランズで常時受け付けている、ダル クォーレのメイド トゥ メジャーでオーダーしたジャケット。「この“フィレンツェ風”はイーサンとダル クォーレが共同開発したブライズランズモデル。ボタン位置が若干高く、着丈もやや短め、両玉縁ポケット、そしてフロントダーツなしの仕立てが特徴です。前身頃に縫い目がないと、柄が分断されずクリーンに見えるのも魅力」
まさか、ナポリのサルトがフィレンツェスタイルを仕立てるとは!
イーサン・ニュートン氏が発したエキサイティングな提案
「職業柄、緊急事態宣言前は色々なブランドからパーティやイベントに招かれていました。クラシックな服が好きなので、そういう場にはM.E.的なドレスアップスタイルで臨んでいるのですが、同じく招待されたモデルやセレブリティは皆モードないでたち。“ちょっと浮いてるかな”と密かに気にしていたものの、やはり自分らしい服装がしたい。
そこで思いついたのが、大好きなナポリサルトに、クールなモノトーン千鳥柄のジャケットをオーダーしてみてはどうかというアイデア。生地はシャープに、仕立てはクラシックにすることによって、モードにもトラディショナルにも着られる一着ができるのではと考えたのです。
そこで、私の友人であるブライスランズのイーサン・ニュートンを訪ねると、『だったら“フィレンツェ風”で仕立ててみよう』との提案が。これには正直驚きました。ナポリサルトにフィレンツェ風を依頼するなんて掟破り。本来は失礼にすらあたるものですが、イーサンとダル クォーレがお互いを深く理解し、リスペクトのもとでコラボすることによって、特別に実現できたのでしょう。
かくして完成したこのジャケットは、パーティが皆無になったこの状況ですら、日常使いのジャケットとして大活躍してくれています。信頼できる作り手とコミュニケーションしながらアイデアを出し合うことによって、予想を超えて満足できるジャケットを生み出すことができる。オーダーメイドって本当にエキサイティングだなと、改めて感動させてくれた体験でした」
Profile
モデル
デヴィッド・レツラフさん
日本在住歴20年超の米国人モデル。大のクラシックファッション好きとして有名で、ソリートやアンブロージなどビスポークも数多く経験。ちなみに上の写真はジャケットだけでなく、全身彼の私物!
[MEN’S EX Spring/Summer 2021の記事を再構成]