家に籠る時間が増えると、自ずと旅への想いが募るもの。訪れたい地へ想いを馳せれば、何を着ていくか、何が食べたいかと、そこでの楽しみ方が浮かんでくる。取材に遊びに、国内外のあらゆる地へ足を運んだ画伯が思い描く、とっておきの旅計画を参考に、ぜひ貴方も自身の旅の妄想を膨らませてほしい。
「ろくもん」列車旅
のどかな信濃路に心洗われ善光寺で心乱れる!?
「へえ~、最近NHKの大河ドラマにハマってるの。なるほど~。そういえば、軽井沢~長野間を走る『ろくもん』っていうしなの鉄道の観光列車を知ってるかな? 列車名は、彼の信州縁の戦国武将・真田幸村の旗印“六文銭”に由来してるんだ。『真田丸』(2016年)も観た? ぜひ一度体験してほしいな。日帰りも可能だから、なんならお供するよ。真田丸好きならずとも心躍ること間違いなし!」
「えっ、ホント!? 乗りた~い♡」
コロナ禍での長いステイホームにお互いストレスが溜っていたのだろうか。気になるあのコとのたわいもないメールのやりとりから思わぬ展開に……。「えっ、ホント!?」はこっちの台詞だ。真田丸好きじゃないけれど心が躍る。
彼女の気が変わらないうちに即ネットで予約。ろくもん1号軽井沢→長野(約2時間15分)コース食事付きプランをチョイス。料理は、地元の食材をふんだんに使った洋食コース。ワンドリンク付きで、地ビールやワイン、日本酒、ソフトドリンクなどから1種類選べる。席は障子とヒノキをふんだんに使った和風コンパートメントだから、個室のような空間の中で食事が楽しめる♡ お楽しみはこれだけじゃない。軽井沢出発(10時20分)の際は、客室乗務員が法螺貝を吹いて合図。地元の可愛い保育園児たちが手を振ってお見送りしてくれるというのだ(ワレワレ2人は子どもの教育上不適切?)。他にも停車駅でお土産が購入できたり、上田駅では甲冑を身につけた上田駅長がお出迎え。快く記念撮影に応じてくれる。おっと、インスタにアップしないようにあのコにくぎを刺しておかないと(汗)。
そうこうしているうちにまもなく終点の長野駅。のどかな風景に心洗われる信濃路の観光列車の旅も終わりだ。とはいえ、時計の針はまだ昼の12時50分。せっかく長野まで来たのだから善光寺参りをせねば。それに……フフフ。
何を隠そう、「今日は大阪でイベントがあって戻りは明日」とカミさんに言い残してうちを出たのだ。だからシアサッカーのスーツ(カノニコのウール100%素材)でポップな旅仕度というワケだ。
聞けば、善光寺は一度訪れれば、誰でも極楽浄土に行ける寺という。“ひと晩でいいです。どうか私を極楽に連れてってください”手を合わせるのは善光寺だけではない。参拝のあとにもう一つ訪れたいところが。参道にある『ザ・フジヤ ゴホンジン』だ。創業1648年の宿をレストラン&ブライダルにリニューアルした和魂洋才の館。ここのラウンジでしっぽりお酒と葉巻を楽しみたい。そして、最後は女神様に二礼二拍手一礼。
今回スーツでの旅を妄想してみた。コロナ禍以降スーツ業界の売り上げが低迷しているという。確かにリモートワークにビジネススーツは必要ないかもしれないが、ボクのように40年以上在宅勤務の身からすると、スーツは遊び着。こんなに見栄えして、着こなしが楽(Vゾーンと靴だけ考えればよい)で、行く先々で丁寧に応対してもらえる便利服はないゾ。この春、遊び着としてのスーツを一着新調してみませんか。
[MEN’S EX Spring/Summer 2021の記事を再構成]