コンサバ派につきまとう悩みが、定番を愛するがゆえマンネリ化。その打開策として参考にしたいのがベーシックかつ個性際立つブランドのスタイル提案だ。なかでも出色の3傑を取り上げ、その“お家芸”を分析してみよう。
[BRUNELLO CUCINELLI]
ブルネロ クチネリに学ぶニュアンスグレー
ブルネロ クチネリを象徴するキーカラーといえばグレー。毎季のコレクションで必ず基調に据えられているが、それでも常に新鮮さをキープしているのは、毎季グレーのニュアンスを絶妙に変えているためだ。日本でも古来から“百鼠(ひゃくねずみ)”と形容されるとおり、グレーはその中に極めて多様な表情を備える色。
その微差をとことん追求し、ときにグレーアイテムのレイヤードで重層的に表現することで、ブルネロクチネリは常に新鮮なグレーを提案しているのである。ベーシックカラーだけで新鮮さを生むその手腕、ぜひ参考にしたいところだ。
ブルネロ クチネリが表現する多彩なグレーのニュアンスは、絶妙に使い分けられた素材によるところも大きい。写真はアルパカ・ウール・ナイロン三者混の起毛感あるジャケットに、スムースなタッチのコットン・ポリアミド製パーカをイン。グレーとベージュの2色しか使っていないコーディネートだが、トーンだけでなく素材合わせの妙も手伝って非常に表情豊かに見えるのだ。