今だからこそ大事にしたい、勝負の日のスーツスタイル【Vol.6/伊勢丹編】
ビジネススタイルのカジュアル化に加え、このコロナ禍により、最近スーツを着る機会が減ったという人もいるだろう。しかし男の装いを美しく見せたいのなら、スーツに勝るものはない。これからの時代のスーツはオン・オフとも、ここぞという場面で着用する“勝負服”としての役割をますます担ってくるとMEN’S EXは考える。
この連載では、スタイリスト・森岡 弘さんと、本誌でもお馴染みの俳優・前川泰之さんが、人気ブランド及びショップの新作をお題に、“勝負の日”に相応しいスーツスタイルを考察。今回は名門ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社の生地を用いたタリアトーレの新作スーツをご紹介しよう。
基本のネイビースーツこそ生地にこだわるのが正解

前川ベーシックなネイビーですが、今らしい艶もしっかり感じさせるスーツですね。
森岡人気のタリアトーレの一着です。従来のクラシックな幅広ラペルを汎用性が高いようラペルをやや細めに、このコラボレーション用に伊勢丹別注のオリジナルパターンを使用しているので、高めのゴージ位置や同じく高めの位置で絞ったウエストシェイプなどに、ブランドを監修するピーノ・レラリオ氏らしい攻めを感じさせるデザインです。
前川生地もいいですね。ドレープと言うんでしたっけ、シワの出方がとても綺麗で、高級感があります。
森岡イタリアの名門、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ(VBC)社の“REVENGE”という生地です。Super150’Sの希少な超極細原毛を経緯双糸(たてよこそうし)で使用していることで滑らかで光沢も豊か。それでいてしっかりした打ち込みによりコシがあり、シワにも強いという、まさに理想的なスーツ生地です。
前川最近思うのですが、スーツ選びはシルエットやデザインはもちろん、上質な生地にこだわることも大切ですよね。
森岡その通りです。とくに勝負の日に着るスーツはある程度素材を吟味する必要があるでしょう。シルエットやデザインとは違った部分で、男の格や色気を示すことができますから。そういうと凝った柄の生地に走る人もいるのですが、こういうベーシックな無地で上質な生地を纏っていると、むしろその人の成熟度が引き立っていいと思います。
前川僕はこのVゾーンも好きです。ストライプタイのゴールドっぽいイエローが効いて、どこか力強さがあり、格調の高さも感じられる。
森岡これも一種のパワータイです。パワータイと言うと赤系のタイを思い浮かべがちですが、’70〜’80年代のニューヨークのビジネスエグゼは、ここぞという時によくイエロー系のタイを締めていました。
前川プレゼンや大切な商談のある日に、間違いのないスーツであり、スタイリングだといえますね。
森岡同感です。ビジネスの基本であるネイビースーツを極めたかったら、ぜひ参考にしていただきたいですね。

クラシックとモダンが高次元で融合したタリアトーレらしいスーツに、ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社を代表する最上級コレクション「REVENGE」を載せた伊勢丹別注モデル。ベーシックなネイビー無地ながら、Super150’S原料ならではの上品な光沢により、大人のエレガンスがしっかり香る。パンツは1プリーツ入りで膝下がテーパードしたシルエット。
お問い合わせ先
伊勢丹新宿店
TEL:03-3352-1111
https://vitalebarberiscanonico.jp
※表示価格は税抜き
撮影=池田佳史(BOIL) スタイリング=森岡 弘 ヘアメイク=古口精樹 文=吉田 巌(十万馬力)