社会人として年齢を重ねるにつれ、役職も変わる。それとともに装いも変わっていくのは自然なこと。いつまでもパターン化した装いに固執せず、働き盛りの30代、40代は、年相応に装いを格上げしていきたい。
年相応の「似合う」を考える
「わきまえたうまさ」を装う「1.5柄」をマスターせよ
ステップアップすることを意識しましょう
年齢とともに顔つきや体型、雰囲気が変わる。それは自然でもあるが、積み重ねてきた経験値なども関係してくるものだ。勿論、年齢を裏切る素敵なギャップも多くあるが、「年相応」がしっかり似合う人は、自分の年齢をきちんと楽しめている証。それもまた好印象を生む。年を重ねたらその分ステップアップを考え、次の「相応」を見据えよう。
まず30代は、若さも顔つきに残るだけに、「無理な背伸びをして、頑張っている雰囲気が表れるのはよくありません。着こなしが、その人に馴染んで見えることが大切です」と森岡さん。タブカラーシャツでのタイドアップやグレーのスーツを着こなすなど、見え方はあくまで基本だが、それがしっかり板についている、そういう意識が大切だ。
40代は貫禄が増し、似合うものが増えるので、選択の幅が広がるとのこと。風格と落ち着きを見せるダブルブレステッドや、基本色でありながら上級感を漂わせるネイビーやグレーの遊びのある色味を選んでも、イヤミがない。「遊び心あるうまい表現を自分のものにしたい年代です」(森岡さん)。
40代に向かっていく30代に似合うもの
活動的な若々しさのなかに、落ち着きや頼もしさを纏いたい世代。20代、30代前半はネイビースーツの人が多いが、ここでグレーに挑戦を。基本アイテムをブラッシュアップして、さりげないクラス感の演出をしよう。
クラス感が伝わるグレーの3ピーススーツ
スマートな頼もしさを感じさせるスーツを
ネイビーやグレーのスーツでも、新人とは、貫禄や雰囲気が違う。その機微を森岡さんは「クラス感」と語る。30代になったら、その点を意識したスーツや小物選びを始めるべき。
スーツは主張の強い色柄で若々しさを出すよりも、落ち着いて堂々と見える深みのあるグレーに馴染んでいくのがよいだろう。シルエットもジャストサイズの中で適度なゆとりのあるものを選ぶ。これがこの世代から纏いたいクラス感のカギとなる。
小物使いは…
心得た装飾を使いこなそう
きゅっと締めたタイのノットを持ち上げ、凛々しい状態をキープするのに活躍するのがタイバーだ。20代ではあまり意識しない落ち着きを求められる30代にとっては、細部への意識の高さもアピールできる有効な小物使いだ。
薄型の3針、シルバーケース、黒革ベルトの腕時計を
カジュアルすぎたり過度に大きな時計は、オフの日だけに留めておこう。30代のビジネスシーンには薄型で上品な腕時計が、ふさわしい。3針、銀色のケース、黒革ベルトなどのディテールを目安に選ぶとよいだろう。
ファッションディレクター&スタイリスト
森岡 弘さん
メンズクラブ編集部を経て、独立。雑誌、広告、ブランドのコンサルティングなど、幅広くファッション業界で活躍する。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)