感謝の心はひと言、直筆で葉書に込める
書道の師範であった母と筆まめな父のもとで育った中井貴一さん。季節のご挨拶などで贈り物を頂いた際に、お礼状を書くことは中井家では当たり前だったという。そして、お礼状を書くことは、現在も中井さんにとって大切な習慣となっている。
「以前は頂いた物をイラストにした絵手紙をお礼状としてお送りしていました。そうすれば、開けて中身を拝見しましたという証にもなりますからね。ただし、最近はなかなかそこまでの時間がかけられず……。崩し字にして、絵と楷書の中間のような“ひと言”を送るようにしています。これなら、無理なく、サッと書けますからね。お礼状という習慣を継続するうえでは“良い文を書こうと思わず溜めない”というのも大切なポイントです」
頂いたものはその場で見て、お礼状もその場でしたためることを心がけているため、常に葉書と筆ペンは持ち歩いているそうだ。
「お手紙だと色々なことを書かなければいけないと思い、億劫になりがちですが、葉書ならスペースも限られています。どうやったら短く感謝を伝えるかを考えて、このスタイルに行き着きました。もちろん、宛名面も必ず自分で書くようにしています」
簡潔ながら、受け取った方の心に響くような葉書を出すのが中井さんの流儀。毛筆でしたためるのもこだわりだ。「相手の心に対してお礼を伝えたい、というのが私の思いです。今、コミュニケーションツールのほとんどがデジタルですが、書道はアナログの極致。手書きの文字にこそ、人の心が表れると思います」
俳優
中井貴一さん
10月スタートの連続ドラマ『共演NG』(テレビ東京:毎週月曜夜10時)に出演。またWOWOW開局30 周年記念『連続ドラマW 華麗なる一族』に主演も決定している(放送2021年予定)。
[MEN’S EX2020年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)