
ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さんが所有する貴重なお宝服の中から、ウンチク満載なアイテムを連載形式で紹介する人気連載「中村アーカイブ」の秋冬バージョンがスタート! 「ベーシックな服もアップデートされていくので、何十年も着続けられる服は意外と少ない」という中村さんだが、自身のファッション史の中で思い出深く、捨てられずに保管してあるアイテムも結構あるのだとか。そんなお宝服の第20弾は……?

【中村アーカイブ】 vol.20 /Mc GEORGEのアーガイル

私がBEAMSに入社した1980年代中頃は、BEAMSのカジュアルの店舗でも様々な英国の老舗ブランドを展開していました。
このスコットランドのニットブランド マックジョージもその一つ。当時はカラフル色のシェットランドのクルーネックのニットが有名で、BEAMSのスタッフのマストアイテムでもありました。
このアーガイルのニットは1987年頃、私がまだBEAMSの渋谷店のスタッフだった頃に購入したものです。当時自分が持つマックジョージのイメージは、カラフルなカラーのシェットランドセーターで、ラムズウールを使ったアーガイルのニットはマックジョージのイメージとは少し違っていました。
それでも当時のトレンドカラーでもあったパープルとグリーンのアーガイルがずっと気になり、何度も試着するのですが、柄物のニット自体を着たことがなかったので、着こなしや自分に似合うかどうかも含めて散々迷ったことを今でも覚えています。
最終的にこのニットを買う決め手になったのが、同じ渋谷店で働いていたトラッドショップ出身の先輩からのアドバイスでした。
当時の私はフレンチアイビーにはまっていたので、アーガイルのニットをフレンチアイビー風に着こなすためのアイテム選びからコーディネートまでを、その先輩がアドバイスしてくれたことで、このニットを着こなす自信がつき購入に至ったのです。
その後は’90年代前半頃まで仕事でも休日でも気に入ってよく着ていました。特にコーデュロイのパンツやホワイトジーンズを穿いて、足元はALDENのローファーやタッセルとあわせてよく着ていました。
プライベートでは色々な節目にこのニットを着ていたので、自分の持つアーカイブの中でも特に思い入れのあるアイテムです。
今シーズンは久しぶりにアーガイルの流れが来ていますが、アーガイルのニットを見るたびにこのニットの事を思い出します。
自分にとってアーガイルのニットのイメージはこのマックジョージなのです。
それは、おそらくこれからも変わらないと思います。