東京五輪のゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める丸山茂樹プロが、オリンピアンたちと語らいながらライフスタイルを深掘りする本企画。第5回のゲストは北京五輪400mリレーで銀メダルを獲得した末續慎吾さん。選手活動の傍ら陸上ファンを増やす活動にもフィーチャー。
【Fun for Win】VOL.05
東京五輪ゴルフ日本代表ヘッドコーチ 丸山茂樹×末續慎吾[前編]
丸山茂樹さん MARUYAMA Shigeki
1969年生まれ。千葉出身。日本ツアー通算10勝。2000年より米ツアーに参戦し3勝。2002年には伊澤利光プロとのペアでゴルフワールドカップを制覇。東京五輪ではリオ五輪に続き、ゴルフ日本代表のヘッドコーチを務める。愛称は“マルちゃん”。
末續慎吾さん SUETSUGU Shingo
1980年生まれ。熊本出身。シドニー、アテネ、北京と五輪に連続出場し、2008年北京五輪の400mリレーで銀メダル獲得。2003年パリ世界陸上200mでは、日本短距離界初の銅メダルを獲得。現役で走りながら「イーグルラン ランニング コミュニティ」を主宰し、走ることの楽しさを伝え続けている。
http://eaglerun.jp/
自称・カスタムの鬼 コーヒータイムが束の間の息抜き
丸山 末續さんとは初めてお会いします。早速ですが、新型コロナ感染拡大により、東京五輪が来年2021年に延期になりました。今の率直なお気持ちをお聞かせ願えますか?
末續 僕自身はシドニー、アテネ、北京と連続出場し、毎年五輪があるような気持ちで生きてきたからか、延期の一報を受けてもポジティブにもネガティブにも捉えませんでした。焦ったり迷ったりしているアスリートもいると思いますが、常に戦える状態にしておけば大丈夫。一旦立ち止まって休むことも大事ですし、休んでいる間はできることをやればいい。練習を少し休んだ程度では、今まで培ってきたものは失われないですから。
丸山 ワクチンの早期開発が待たれますね。本連載ではオリンピアンの方に競技外のライフスタイルや習慣について伺っているんですが、試合前の決まったルーティーンなどはありますか?
末續 集中するときは連絡手段を絶って、ひたすら練習に打ち込みますね。2012年のロンドン五輪前のアメリカ合宿では、自分を追い込むために携帯電話を持ち込みませんでした。
丸山 ストイック! アメリカはどちらに滞在を?
末續 テキサス州ヒューストンです。
丸山 ハンバーガーショップには困らない街ですよね(笑)。レストランの選択肢が限られて、食事の栄養管理に苦労されたのでは?
末續 筋肉を使う競技ですし、体重が増えにくい体質もあって、カロリーは特に気にしませんでした。食を追求すると肉体を追求する時間が削られるので、自宅では目玉焼き専門。ときどき外食して気分転換をしていました。
丸山 キャディやマネージャーなどと、大人数でワイワイ食事するゴルフとは違いますね。僕はアメリカツアー中、韓国選手とよく焼肉に行きましたが、日本語と韓国語、英語が飛び交ってもうカオスです(笑)。
末續 外国人選手との会話はちゃんぽんになりがちですよね(笑)。丸山さんはアメリカツアー中、日本に国際電話を頻繁に掛けていたそうですが、どんなことを話されていたんですか?
丸山 師匠である父親とゴルフ談義をしたり、友達と喋ったり、電話代で年間100万円程費やしたこともありますよ。35歳を過ぎるとホームシックが加速して、気付いたらNBA全チームの限定スニーカー30足を衝動買いしていたこともありました。
末續 僕も30代は特に寂しさが募りましたね、20代の孤独はノリや体力で乗り越えられましたが。練習漬けの間、会話するのはトレーナーとコーチぐらい。人との関わりを断つことで得るものは大きいけれど、失うものも大きいです。そんなときはスターバックスを心の拠り所にしていましたね。