大人の日常生活は、微妙なピンチの連続です。適切な言い訳を繰り出して、自分を守りつつ周囲のストレスを最小限に抑えましょう。
部長の悪口を書いたメールを本人に送ってしまった・・・・・・
メールのやりとりが、いつもより増えている昨今。そんな状況が、とんでもない悲劇を生んでしまいました。「部長がまたいつもの思い付きで、ヘンな案件を振ってきたけど、どうする?」と、ちょっと悪口風味のメールを同僚に送った……つもりが、うっかり部長本人も㏄に含めて送信したようです。部長から「宛先、間違えてない?」とメールが来て、己の失態に気づきました。すぐさま言い訳が必要な緊急事態です。
すぐに部長の前で深々と頭を下げつつお詫びの言葉を叫びたいところですが、テレワーク中でそれもできません。まずは誤送信を丁寧に謝罪するとして、こう付け加えましょう。「何とぞ読まずにそのまま削除してください」
すでに読んでいるのは確実ですが、あえて読まないでほしいと懇願することで、居たたまれなさや気まずさを表現します。その上で、「いつも彼とは、部長の発想力と実行力はすごいと、親しみを込めつつ言い合っております」と、全力で持ち上げつつ不都合な記述に別の意味を持たせます。白々しいですが、人は自分に都合よく解釈するのが得意な生き物なので、「そういうことか」と納得するはず。
仕上げは「これからも部長の寛大さに甘えることもあるかと存じますが、よろしくご指導お願い申し上げます」で。こう書かれたら、部長としては怒りを収めて寛大な態度を取らざるを得ません。この手の軽口は誰しも身に覚えがあることなので、落としどころを示してあげることで、事態は一気に収束に向かうでしょう。
言い訳の極意
相手が振り上げかけた拳を
すんなり下ろせるように
さりげなくお膳立てする――。
それもまた言い訳なり。
[MEN’S EX 2020年6・7月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)