手腕、手練、上手、敏腕など、賞賛の意を込めた手や腕に関する成句は多い。手は体の重要な一部であり、手元の主張は時に言葉以上の説得力をもつ。ゆえに自らのキャラクターを表すメッセージとしての意思ある時計選びが重要となるのだ。

手は口ほどにモノを言う

色は想像以上に、人の心理に大きな影響を与えている。色彩を専門に研究する、心理学者がいるほどに。例えばブルーの服は、冷静で知的な印象を見る人に与える。これはビジネススーツでネイビーが多用される理由のひとつだ。

色の効果を知るビジネスマンは、シーンによってネクタイの色で印象を操作する。ハードなネゴシエーションが必要な現場では洒脱なレジメンタルタイから、力強さや積極性がアピールできる赤いネクタイに着け替えるといった具合に。それと同じように、オーセンティックなネイビースーツの手元に赤い時計があると、どこかパワフルな印象が醸し出される。とはいえ、赤は強烈な色。ビジネスシーンには派手で、本来はそぐわないとされる。しかし、ジャガー・ルクルトの「レベルソ・トリビュート・スモールセコンド」の新色ならば、話は別。時計ファンなら誰もが知る、角型時計の永遠のアイコンを、ご覧のようなワインレッドに染めた新作だ。

その色味は実にシックで、1931年誕生時のダイヤルを模したクラシカルな外観と相まって、赤い時計であってもビジネスシーンに自然に馴染む。それでいて赤がもたらす心理効果は健在で、力強く情熱的な印象も与えられる。逆に穏やかな雰囲気で力強さを抑えたい時には、レベルソならではの反転式ケースが大活躍。クルリと裏返せば、ワインレッドのダイヤルは消え去り、ソリッドなSSの裏蓋が表に現れる。反転式ケースは、色の心理効果の操作にも効くのだ。