未来の大御所の“お得意さま”になるために
新鋭職人と“今から絆を深める”
古今東西問わず、粋人はパトロネージュの醍醐味を知っている。すなわち、“これは”と思った職人にいち早く注目し、彼らの成長を見守る愉しみだ。
才気にあふれた新鋭たちを今から贔屓にしておけば、将来巨匠になった彼らの作品を、より特別な思い入れとともに愛用することができるだろう。
SARTORIA SILVANO / サルトリア シルヴァーノ
代表 菅沼知央さん
早くも世界の服好きが注目するナポリ帰りの新星
プロボクサーを志していたのですが、足の怪我もあって好成績を残せず、プロの世界は諦めました。ならばほかの何かで世界を目指そうと考えていたところ、出会ったのがテーラーの世界だったんです。
中でもナポリには国宝級の技を持つサルトがいると聞き、渡伊を決意しました」
伝手を頼って弟子入りしたのは、アントニオ・パスカリエッロ氏。ナポリでは珍しく、非常に繊細な手仕事で知られるサルトで、チッチオの上木氏やラファニエロの東氏の師匠としても知られる。約4年半の修業の中で受け継いだもののひとつが、「カッポット ミリターレ」とも呼ばれるアルスターコートだ。
クラシックなアルスターは昔の軍服に似ていることから、師はそう呼んでいたという。ここへ菅沼氏はさらなる独自解釈を加え、芯地使いなどを変更して改良したそうだ。
サルトリア シルヴァーノとして開業したのは’18年のことで、今は耳の早い海外の顧客のほうが多いという。“世界”を目指した若者は、33歳の若さでその夢を掴みかけているのだ。
アルスターの意匠を踏襲したバックスタイル
マルティンガーラと呼ばれるバックベルトが付き、背中全体にプリーツが入ったバックスタイル。ちなみに裏地はあえてハーフライニングにして、より軽やかな雰囲気に仕立てている。
スポーティに仕立てたディテール
カフはターンナップ、ポケットはパッチ&フラップという、クラシックスポーティなディテールを採用。仕立てのスーツにも当然合うが、カジュアルに着こなしても映えそうだ。
SARTORIA SILVANO
コートのオーダー料金は50万円~。スーツのオーダー料金は42万円~。納期約12ヶ月~。オーダー時はメールにて要予約。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年1・2月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)