日本一の老舗シューケアメーカー「コロンブス」の全面協力、Begin & MEN’S EX特別編集で好評発売中の書籍『究極の靴磨き』から、その中身をピックアップしてご紹介する。今回は巻末の「デザイン別 磨きがいのある究極の靴カタログ10選」より、ベルルッティの美しい一足を取り上げよう。
ベルルッティ アレッサンドロ デムジュール
PRODUCT BERLUTI ALESSANDRO DÉMESURE
MATERIAL CALF
PRICE 25万7000円
MADE IN ITALY
ジャン・コクトーも虜にした
アートとして部屋に飾れる靴
縫製箇所が踵にしか存在しない、一枚革で成型されたデザインをホールカット、あるいはワンピースと呼ぶ。平面の革を立体に仕立てる靴は構造上、パーツが細かければ細かいほど成型を容易にする。つまりホールカットは熟練の職人技が求められる靴種である。使う革も一足分取れるだけの大判に限られ、かつ選りすぐった革を大胆に裁つことができなければ成立しない、という点も見逃せない。
技と贅を尽くしたその靴は流麗な木型のシルエットを分断することなく、正確に再現し、そして包み込むような履き心地も保証する。
誰もが認める靴でありながら、おいそれとは手が出せない靴。ホールカットがメゾンを代表する一足に挙げられるあたり、やはりベルルッティの美意識は突き抜けていると言わざるを得ないだろう。
彼らの美意識を象徴するものとしてシャンパンを絡めた靴磨きがあるが、この手のこだわりは枚挙にいとまがない。例えばベルルッティ結び。解けにくいことをテーマに考案されたシューレースの結び方もまた、美意識の発露である。なぜならば、紳士にとって道端で腰をかがめて結び直すことほど無粋なことはないからだ。
すっぴんのフルグレインレザー、ヴェネチアレザーを溶剤、精油、顔料、染料を独自のレシピでブレンドしたパティーヌで仕上げたアッパーこそ、そんなベルルッティを等身大で表現するものである。
黒茶一辺倒だった紳士靴にイエロー、グリーン、パープルといった大胆な色を用い、手仕事で塗り込んだその革は芸術と呼んで差し支えのない領域にあった。四代目、オルガ・ベルルッティ女史が常識にとらわれず、感性の赴くままに作り上げたコレクションはまさにアッパーをキャンバスに見立てたアートだった。ジャン・コクトーやアンディ・ウォーホルが愛したのもむべなるかな、だろう。
普段は通常のシューケアで十分。色が褪せてきたと感じたらブティックを訪れよう。常駐するスペシャリストがいつでも蘇らせてくれる。この手厚いサポートもベルルッティの専売特許だ。
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―INDEX―
ChapterⅠ 頻度に応じた靴磨き
おろしたての靴磨き/履き終わりの靴磨き/週に1度の靴磨き/月に1度の靴磨き/半年に1度の靴磨き
ChapterⅡ 短時間でできる靴磨き
1分で光らせる/5分でツヤを出す/30分で鏡面磨きを完成させる
ChapterⅢ 上級者向けの磨きを極める
立体感を出す磨きを極める/アンティーク磨きを極める
ChapterⅣ トラブル対策
キズ編/カビ編/塩吹き編/クレーター編/シミ編
ChapterⅤ 磨きがいのある デザイン別 究極の靴カタログ10選
世界文化社刊 1300円+税