進化する様式美が今の暮らしを豊かにする
モダンな日常が叶う京の用の美

芸術的な工芸品や織物が根付く京都。腕利きの熟練職人が多いこの街にあって、若手後継者たちが新たな伝統工芸のあり方を探求している。豊かな感性から生まれたモダンなプロダクトに触れることで、ものづくりの本質に迫る。
華麗な西陣織で家具をオーダーする
─ HOSOO FLAGSHIP STORE ─

ジャケット7万8000円/バレナ(エリオポールメンズ銀座) シャツ3万2000円/バグッタ(トレメッツォ) パンツ3万7000円/ポール・スチュアート(ポール・スチュアート青山店) 時計75万円/ゼニス(LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス) 靴8万4000円/ボードイン アンド ランジ(オカベ アンド パートナーズ)
職人の確かな手仕事を結集させ、西陣織の新境地を切り開く
応仁の乱に端を発するとも言われる西陣織は、京都市北西部の西陣地区で生産される先染めの織物を指す。長い歴史に加え古都という土地柄も相まって、西陣織と聞けば格式高い伝統工芸品を思い浮かべる人がほとんどではないだろうか。
連綿と続く伝統を大切にする世界でありながら、現代に息づくテキスタイルとして革新的な試みを続けているのが「細尾」だ。ファッションブランドやアート、インテリアなど、幅広い業種との協業に加え、2017年には会員制にて宿泊施設の「HOSOO RESIDENCE」を開業。
次々と新たな挑戦を続けている。そんな「細尾」の歩みを象徴するのが、9月にオープンしたばかりの「HOSOO FLAGSHIP STORE」だ。
1階では西陣織のテキスタイルを使った家具やクッション、ルームシューズといったホームコレクションをオーダーメイドもできる。2階にはギャラリーを併設し、日本各地の染織文化をテーマとした展覧会が不定期で開催され伝統技術についても学べる。
「同じ西陣織でも本当に多彩。ラウンジやギャラリーも素敵ですね」と話す前川さん。「版築の外壁や左官技術を駆使した内壁など、この店には伝統工芸を肌で感じてもらえる部分が多くあります。伝統技術や職人、そこに関わる多くの方々のサロンとしてストアが機能すれば嬉しいですね」と細尾真孝さんは語る。