大人の日常生活は、微妙なピンチの連続です。適切な言い訳を繰り出して、自分を守りつつ周囲のストレスを最小限に抑えましょう。

講師
石原 壮一郎さん

1963年三重県生まれ。日本の大人シーンを牽引するコラムニスト。『大人力検定』『大人の言葉の選び方』『家族史ノート』など著書多数。

ゴロゴロしたい休日。妻が買い物に付き合ってと……

このところ休日出勤が続いたりして、久しぶりにのんびりできる休日。「今日はゴロゴロするぞー」と張り切っていたら、妻が「ねぇ、買いたいものがあるからデパートに付き合って」と言ってきました。

行ったら長丁場になって、イライラさせられつつ疲労困憊になるのは明らか。しかし、断わり方を間違えると、ヘソを曲げられて極めて面倒なことになります。休日と家庭の平和を守るために、言い訳の力にすがりましょう。

「行きたいけど、朝からお腹の具合が」と体調のせいにする手はあります。しかし、そう言ったが最後、昼間からビールを飲んだりジャャンクフードを食べたりという休日ならではの愉悦も、泣く泣く放棄しなけれは?なりません。

こうなったらイチかバチか。「本屋にも寄りたいな。一時間ぐらいかかりそうだけど」と、その類の、妻が嫌がりそうな交換条件を出してみましょう。

まんまと「えー、だったら、ひとりで行こうかしら」と言ってくれたら、こっちのもの。ただし「いいわよ」と言われたら、念入りに苦難を背負うことになります。

オススメしたいのは、いい気分にさせつつ煙に巻く作戦。「今日のキミはいつも以上にキレイだから、亭主といっしょに歩くより、ひとりのほうが世のため人のためだよ」

こう言えば、要は行きたくないんだなと察しつつも、「仕方ないわね」と機嫌よく納得してくれる……はず。

心置きなくゴロゴロするためなら、歯が浮くセリフを口にするぐらい何のその。ありったけの勇気を振り絞りましょう。

言い訳の極意

ワガママを押し通すために
渾身のお世辞を繰り出して
相手をいい気持ちにさせる——。
それもまた言い訳なり。