遠く離れた街でもそこに馴染みができれば、知らぬ土地もHOMEになる。きっかけは美食。それが人との縁と街への愛着を生む。日本中に馴染みを持つ達人に、特別な「美味しい」を聞いた。
「温もりと地に足着いた美味しさがある」
ファクトリエ 代表 山田敏夫さん× 熊本「鳥兆」
噛むほどに素材の良さを堪能できる
「ここは小さい頃から通っている店。カウンター+テーブル席2つの小さな空間で、地元客が集まり、初対面同士でも焼酎を奢るようなことも。全て美味しいですが、馬肉のさくら串が絶品です」。
生まれ育った地元、熊本の「鳥兆」を挙げたのは、ファクトリエ代表の山田さん。日本の繊維産業を支える職人たちを訪ねて全国を飛び廻り、新たなブランディングへ繋げている。作り手に重きを置き、そこに存在するストーリーを大事にする山田さんにとって、「鳥兆」はまさにそれが描かれている場所なのだという。
「こちらの店主は、もともとは常連客で、一代目の店主が辞めるときに後を継がれました。今は親子で店を守り、ファンも多い。食材一つ一つにも細かくこだわり、派手ではないけれども、しっかりと安心できて実に美味しい料理をいただけます。心の底からなくしたくないと思えるお店。自分のお客様を呼ぶときは、いつもここに連れてきます」
鳥兆
住所:熊本県熊本市中央区花畑町11-29
TEL:096-351-6478
定休日:日曜・祝日
Profile
ファクトリエ 代表
山田敏夫さん
国内600以上の工場へ足を運び、メイドインジャパンの工場直結型ファッションブランド「ファクトリエ」を運営。オリジナルのウェブサイトでは各界の賢人たちとの対談も。
[MEN’S EX 2019年7・8月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)