豊富なカラバリはデビュー当時からの伝統

1972年にデビューしたポロメッシュシャツの、誕生時の色展開は全24色。バリエの多彩さと発色へのこだわりは現在に続くレガシーだ。

ポロプレイヤーロゴはレディースが起源!?

アイコンのポロプレイヤーロゴが誕生したのは1971年。最初は胸でなく、レディースシャツのカフスに用いられたというのは豆知識。

伝統への敬意が、新しい価値を創造する糧となる

アメリカントラディショナルという様式美をモードへと昇華し、世界中に広めたMr.ラルフ・ローレン。世界で最も有名なファッションブランドを一代で築いた”モード界の伝説”がその名を上げる契機となったのは、28歳のとき。彼がボウ・ブランメルというタイメーカーに勤めていた’67年のことだった。細身タイ全盛時代に、大剣幅が11cmを超えるほどのカラフルタイをデザインし、評判となったのだ。ブランド名に、欧州の上流階級が親しむスポーツの「ポロ」を掲げたのもこのとき。ドレスファッションのルーツ、英国貴族文化への憧憬がそこにあった。’68年にメンズウェアのコレクションを発表した彼は、’72年に後の基幹アイテムとなるポロメッシュシャツを発表。ポロプレイヤーのロゴを小さく胸に配したそれは、全24色のカラーバリエが話題に。製品洗いを施して叶えた、着古したようなソフトな風合いも当時は画期的であった。

2005年にテニスUSオープンの公式スポンサーとなった折は、いわゆる「ビッグポニーロゴ」のポロシャツを発表。アイコンは胸に小さくという”お約束”を打ち破ったインパクトは計り知れず、一躍トレンドに。伝統に誰よりも敬意を払いながら、大胆な発想で新しい価値を見出す手腕。それは、ラルフ・ローレンというデザイナーが授った天賦の才といえよう。

[MEN’S EX2018年07月号の記事を再構成]
文／秦 大輔