物事の始めは手近なところから、という意味で「隗(かい)より始めよ」の言葉があるが、脱・スーツの第一歩は、まず「タイより始めよ」と提言したい。脱・ネクタイは意外とサマになりにくいものだが、コツさえ掴めばカンタン。カギは、シャツの選び方にある。
タイなしが台無しにならない秘訣はシャツ選びにあり
夏季の軽装が解禁されてまず実践することといえば、ネクタイを外した装いだろう。しかし、タイはドレススタイルの柱。それをただ抜いただけでは、服装全体がどこか間の抜けた印象になってしまう危険も大きい。では、正しい「脱・タイ」の方法とは?最もカンタンなのは、ノータイ用に作られたシャツを揃えることだ。その代表例がワンピースカラーで、胸元から襟先にかけて、自然に立体的なラインが生まれるように設計されている。ノータイをきちんと見せるのが難しい原因は胸元の寂しさにあるが、襟の立体感がそれを解消してくれるというわけだ。
また、丸襟のクレリックシャツも実はノータイでサマになる。2トーンの襟と襟先がアクセントとなり、胸元を寂しく見せないからだ。難しいといわれるノータイも、シャツに注意すれば攻略は容易だ。
左 : POLO RALPH LAUREN
首元の2トーンが寂しさを回避
トラッド回帰の昨今、改めて注目を集める丸襟のクレリックシャツ。もともとはタイドアップ用だが、ノータイでもご覧のとおりサマになる。2トーンの襟が首元に彩りを添えることで、Vゾーンの物足りなさを感じさせないのが主な理由だ。
シャツ1万8000円/ポロ ラルフ ローレン(ラルフ ローレン) ジャケット10万円、パンツ3万円/以上ポロ ラルフ ローレン(ラルフ ローレン) メガネ2万5000円/ボストンクラブ(オブジェ・イースト) 鞄7万9000円/フェリージ(ビームス ハウス 丸の内)
右 : LUIGI BORRELLI
ロールが優雅で立体的な襟元に
台襟と襟羽根が一枚に繋がったワンピースカラー。ボタンを開けた胸元が立体的に見え、襟先は優雅なロールを描くのが特徴だ。通常は第1ボタンが付かないが、こちらはボタン付きのためタイドアップもこなせる特別仕様。
シャツ3万6000円/ルイジ ボレッリ(バーニーズ ニューヨーク) スーツ18万円/リングヂャケット(リングヂャケットマイスター 青山店) 時計54万円/ゼニス(LVMH ウォッチ・ジュエリージャパン ゼニス) ベルト〈スタイリスト私物〉
[MEN’S EX2018年06月号の記事を再構成]
撮影/野口貴司(San・Drago)、鈴木泰之、岡田ナツ子 スタイリング/四方章敬、宮崎 司(CODE) ヘアメイク/松本 順(辻事務所) 構成・文/伊澤一臣 文/秦 大輔、吉田 巌(十万馬力)、安岡将文