【インタビュー】松尾スズキさん、大人計画の30周年記念イベント『30 祭(SANJUSSAI)』を語る

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劇作家、演出家、俳優、映画監督、コラムニスト、3度芥川賞にノミネートされた小説家、そして劇団 大人計画の主宰者と、実にさまざまな顔を持つ奇才、松尾スズキさん。その深すぎる魅力を、仕事やファッションを通して探った。

松尾スズキ

30歳の松尾スズキ、大人計画の全体像をお見せできる機会になれば

松尾スズキ

松尾スズキ

Profile
1962年福岡県生まれ。’88年に大人計画を旗揚げ。’97年、舞台『ファンキー!宇宙は見える所までしかない』で第41回岸田國士戯曲賞。’04年、初の長編映画監督作『恋の門』がヴェネツィア国際映画祭に正式出品。’06年、小説『クワイエットルームにようこそ!』が芥川賞候補に選出され、翌年自身の監督・脚本により映画化。’08年、映画『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜』の脚本で、第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。’19年にはNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』に出演予定。

スーツ11万5000円/ビームスF、 シャツ2万2000円/ギ ローバー、 タイ1万6000円/フランコ バッシ、 チーフ6800円/エレディ キャリーニ (以上ビームス 六本木ヒルズ)  ハット2万8000円/ KIJIMA TAKAYUKI  メガネ4万円/オプティシァン ロイド

自分は先導する人間ではない、というファッションにしている

演劇人というと、ラフなスタイルが多いイメージだが、松尾スズキさんはジャケットにハットが定番。そこには松尾さんならではのファッション哲学がある。

「無難というのもありますが、”着るものにも責任を持たないと”と思っています。この業界にはたまに奇天烈な格好をしている人がいますが、そんな格好で、上手く芝居ができないからとシュンとされてもこちらが対応に困る。奇天烈な格好をしているなら、どんな時も”自分は奇天烈である”という責任を持ってほしいんですよね。だから僕は、特に人前に出る時に、”自分は率先して先導するような人間ではありませんよ”という、ちょっと引いたポジションに収まるような格好を心がけていて、それがこのスタイルなわけです(笑)」

「もういい年なんで若作りをしてもしょうがない」と話す松尾さんは、現在55歳。「今年は近年稀にみる忙しさで、なんだか元気がある」のだそう。そんな活動力の源になっているのが、12 月に開催される、松尾さん主宰の劇団 大人計画の30周年記念イベント『30 祭(SANJUSSAI)』だ。過去の舞台写真などの展示、名作上映会、劇団員のパフォーマンスなど盛り沢山な内容で、特に松尾さんは『松尾スズキ30周年記念ファミリーコンサート』に注力している。

「平成30年に、”松尾スズキ”としての活動も、劇団旗揚げからも30年目を迎えました。こんなに”30″が揃うことなんてないからと、半ば冗談で今までやったことのないコンサートを提案したら、いつの間にかこんな大イベントになっていた。コンサートはNHKの音楽番組風だけど、中身は僕が生バンドを従え、歌ってダンスするというふざけた内容です。でも30年ということで大人っぽく。なんてったって”ダンディでゴージャス”がテーマの、ファミリーコンサートですからね(笑)」

’88年に旗揚げした大人計画は、宮藤官九郎さん、阿部サダヲさん、皆川猿時さん、荒川良々さんなど多くの才能ある役者を輩出。30年間育てた我が子のような劇団は、松尾さんにとってどんな存在なのか。

「得体が知れない存在ですね。僕も30歳の頃、自分のことをそう見ていましたが、芯の部分には”自分は喜劇人だ”という思いがずっとあった。だから大人計画も、”この人たちなら面白いことをしてくれる”と言ってもらえる存在になればと思ってきたし、実際そうなってきていると感じています。

また僕がコミュニケーションに関して若干の問題を抱えているところがあるので、劇団員も皆リア充じゃない傾向が(笑)。それに態度がデカい俳優やリア充らしい俳優の噂を聞くと、”こいつだけは起用しない”という松尾スズキ版デスノートもある(笑)。そんな”リア充じゃない、コンプレックスがあって地味だけど、芝居の武器は持っている”人たちが、戻ってくる家が大人計画なんだと思います。今回のイベントは、そんな劇団のデリケートな部分も含めて(笑)、大人計画の全体像をお見せできる機会になればいいですね」

『30祭(SANJUSSAI)』

『30祭(SANJUSSAI)』

大人計画劇団員総出演! 松尾スズキと劇団の30歳を祝う大イベント
かつて20代だった無鉄砲なメンバーたちも、そこそこ常識を身につけた中年に成長。12月18日〜30日に、スパイラル(表参道)にて。『松尾スズキ30周年記念ファミリーコンサート”なんとかここまで起訴されず”』は12月25日・26日の二日間。21時開演。



※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2019年1月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)


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