【中井貴一の好貴心】vol.9《ハワイで感じるヒーリングの心》
前号に引き続き、ハワイです。
前号では、ファーストハワイの思い出を中心に綴ってみましたが、
今回は、その10年後の2回目から今日まで、つまり大人目線で見たハワイの魅力を私なりに紹介してみたいと思います。
ハワイでの映画撮影で感じたこと、ハワイのパワースポット体験、ハワイのサンセット、そして、ハワイに来たら毎回会いたい憧れのあの人……。
こうして書いているそばから、ハワイに帰りたくて、帰りたくてウズウズしてしまっているのです。
岩場の海際まで降りていくと、ミスト状の波しぶきが降りかかる。
─ここでパワーを蓄えなさいと、神様が与えてくれたような場所と感じました。
“ハワイの父〟こと、イーさんとリケリケドライブインで朝食を
旅をする時に私が楽しみにしているのが、朝食。勿論ハワイでもそうだ。日本にいると朝がやたらと慌ただしくなり、朝食をゆっくりとるなどということは全くといっていいほどない。しかし、旅先では時差により、空腹で早く起きてしまった朝は、ホテルなどでのゆったりとした朝食が、食いしん坊の私には何よりの楽しみなのである。
取材の初めにまず腹ごしらえをということで、私が勝手にハワイの父だと思っているクラランス・イーさんとリケリケドライブインで待ち合わせ、朝食を。ここは古くから続くダイナーで、日本でいうファミリーレストランとはひと味もふた味も違う。日本にもこんなダイナーがあったらと帰国する度に思うのである。
ハワイに滞在中はよくこの店で朝食をとるのだが、殆どが現地の方達。しかも、高齢者の方が多いのだ。日本では見ることが少ない光景だと思うが、ここでは皆さん目玉焼き、オムレツ、ベーコン、ハム、下手をするとステーキまでと、朝から食欲旺盛で(健康であるのと、元気であるのは違う……と、亡き大滝秀治さんが仰っていた意味がよく分かる光景である)、このダイナーが日本で言うところの、病院の待合室のような社交場にもなっている。常連同士声を掛け合い、店員がさりげなく常連さんの体調を気遣い、そして楽しいジョークで笑わせる。日本でもかつては商店街にこんな光景があったのではないか……と、人間同士のアナログな付き合い方にもホッとさせられる。
何を隠そう、このイーさんも御年88。父が存命であれば同じ年。とにかく、カッコいい。現在でも、仕事も現役、ゴルフも現役。
ゴルフをやらない方にはお分かりいただけないかもしれないが、エイジシュートなるものがあり、これは自分の年齢以下のスコアーで回ることを意味する。であるからして、60代でのエイジシュートは奇跡に近く、70代、80代になれば、プレイヤーの体力がきつくなってくるので、これもまた大変。そんな中にあって、イーさんのエイジシュートは60代から始まり、130回を超える。
平日の朝はメルセデスを颯爽と運転し、殆ど毎日のようにこのリケリケドライブインへ。ハワイの滞在中何度か食事をご一緒させて頂くのだが、その時の立ち居振る舞いや気遣いが何ともダンディーで艶っぽい!殆どの女性は、コロッといってしまう(笑)。自分も80を超えた時にこんな男になりたいと、ハワイの地を訪れる度に心に期するのである。
旅の思い出には、景色の良さ、食事のうまさ、レジャーなど色々なものがあるが、私にとっての旅の財産や思い出は、どんな人に出会えたか……、それに尽きる。オフになるとあの景色を見に行きたいというより、あの人に会いに行きたいと思って旅をしているのかもしれない。しかし、このハワイには人間の持つパワーを超えた大いなる自然のパワーが満ちているような気がするのは、私だけだろうか……