『MEN’S EX特別編集 最高の靴選び』では、人気ブランドの「最高の3足」をピックアップ。履く時にテンションがあがる2026年“今”の最高の靴選びを真剣に考えてみたい。
伝統を“守る”から“更新する”へ
サントーニを読み解く4つのキーワード
1975年、イタリア・マルケ州で誕生したサントーニ。半世紀を超えて受け継いできた伝統を、ただ守るだけでなく、今なお新たな価値へと更新し続けている。名門が描く現代のエレガンスを4つのキーワードから探る。
1. Technology
革新的な履き心地・機能性
クラシックな職人技の美しさはそのままに、軽さ、柔軟性、クッション性を高め、日々の動きに寄り添う快適な履き心地を追求。現代のエレガンスを提示するのが「EASY」コレクションだ。
エレガンスをもっと軽やかに
EASY COLLECTION
フォーマルとカジュアルの境界が曖昧になり、快適性の基準が変わった今、サントーニが出したひとつの答えが「EASY」コレクションだ。目指したのは、ドレス靴のように見えるスニーカーではなく、クラシックシューズそのものを現代のライフスタイルに合わせて再構築すること。端正なプロポーションを崩さず、片足295gからという軽さを実現し、衝撃を吸収するメモリーフォームのインソール、パーフォレーションを施したナッパレザーのライニング、グリップ性と耐久性を備えたラバーソールを採用。アッパーに内蔵されたゴムも、足入れを助ける仕掛けだ。見た目はエレガントだが、履けば驚くほど軽やか。革新性を内に秘めながら、テクノロジーを前面に出さない。そこに、サントーニが考える“今”のラグジュアリーがある。
チェルシーブーツ
革新的なフットベッド技術を取り入れた一足。ボリューミィなソールは衝撃吸収性と弾力性に優れ、足の動きにしなやかに寄り添う安定感ある履き心地をもたらす。14万6300円
チェルシーブーツ
ヴェラトゥーラ技法で深みある色みに仕上げたスエードに、メモリーフォームのインソールを採用。ダブルバックル柄のラバーソールでグリップ力と耐久性を向上。14万3000円
コインローファー
弾力性と衝撃吸収性に優れたメモリーフォームのインソールを採用。履き口にはゴムを内蔵し、着脱もスムーズ。クラシックな見た目ながら、軽快で快適な一足。12万9800円
2. Craftsmanship
クラフツマンシップ
サントーニの靴に宿る個性は、機械では代替できない職人の手仕事から生まれる。色を見極め、革の状態を読み、工程ごとに手を入れる。その蓄積された知識と技術こそ、サントーニの靴作りを支える根幹だ。
芸術的な手作業によるカラーリング技法
VELATURA(ヴェラトゥーラ)
サントーニの色彩美を象徴する独自技法が「ヴェラトゥーラ」だ。絵画のように色を一層ずつ手で重ね、求める色調と奥行きが生まれるまで、10〜15層にもわたって染色を施す。ブラウン、ブルー、バーガンディ、グリーンなど、多彩な色が繊細に移ろう表情と、光を受けたときに浮かび上がる豊かな陰影は、工業的な染色では生み出せない。フルグレインレザーやスエードなど、幅広い素材に応用できるのも特徴。革は毛穴の状態や仕上げによって染料への反応が異なるため、職人は一足ごとに素材を見極め、色の量や重ね方を細かく調整する。だからこそ、同じ色でもまったく同じ表情にはならない。技術と感性の双方が要求される手仕事なのだ。
靴の特性に合わせて使い分ける多彩な製靴技法
サントーニでは、デザインや求める履き心地、機能に応じて最適な製法を使い分けている。堅牢性と耐久性に優れ、履くほどに足になじむグッドイヤーウェルト製法をはじめ、軽やかで柔軟、履きならしが不要なブレイク製法など、それぞれの特性を熟知した職人の技術を駆使。一足ごとに最適な構造を選び抜くことも、サントーニの卓越したクラフツマンシップを象徴している。
ノウハウを受け継ぎながら、未来へと進む
Accademia dell‘Eccellenza(アカデミー・オブ・エクセレンス)
クラフツマンシップは、マニュアルだけで受け継げるものではない。その知識と技術を次代へ渡すため、サントーニが2023年に設立したのが、独自の教育プロジェクト「Accademia dell’Eccellenza」(アカデミー・オブ・エクセレンス)だ。4週間の集中プログラムでは、座学と実践を組み合わせ、熟練の職人のもとで靴作りを学ぶ。身につけるのは裁断や縫製の技術だけではない。各工程の意味を理解し、精密さや忍耐力、芸術性まで学ぶことが重視される。若い職人に求められるのは、過去をそのまま再現することではなく、受け継いだ考え方を礎に、その先へ進む好奇心。ここは、靴づくりの伝統を次代へつなぎ、更新していくための学びの場なのだ。





