
日本にも来春登場予定のBEVバンが欧州で各賞受賞
Kiaが送り出す次世代小型商用BEV「PV5」。来春の日本市場投入を控え、その名はすでに欧州で確かな存在感を放ち始めている。
まず特筆すべきは、欧州新車安全性能評価「ユーロNCAP」の商用バン部門で最高評価の5つ星を獲得した点だ。荷を運ぶ道具である以前に、働く人の命を預かる「職場」でもある商用車。そこに乗用車並みの先進安全技術と堅牢な構造を惜しみなく投入している。事故を未然に防ぐADAS群、衝突エネルギーを効率的に逃す骨格設計──数字の背後には、現場に寄り添う実直な思想が息づく。
さらにPV5は、単なる実力だけでなく、“世界記録”という揺るぎない客観性も手にした。満載状態の商用EVとして一充電走行距離693.38kmをマークし、ギネス世界記録に公式認定。荷を積んだまま東京から大阪へ──そんな現実的な長距離輸送をEVで実現できることを力強く証明した。これは航続性能のみならず、荷室効率や駆動系レイアウトを根本から見直したKiaのPBV(Platform Beyond Vehicle)思想の成果と言える。
「2026年インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤー」をはじめ、欧州ではすでに複数のアワードを受賞し、その評価は物流・モビリティ・デザインと領域をまたぐ。つまりPV5は、一つの性能項目ではなく、“総合力で勝つ商用EV”として認められた存在だ。
ビジネスシーンに求められるのは、派手な演出ではなく、確かな仕事を淡々とこなすタフさと信頼性。PV5の佇まいには、そんな“働く相棒”としての本質が静かに通っている。EVという新しい時代の道具でありながら、安心して任せられる落ち着きがある。
来春、日本の道路にPV5が姿を見せる。安全性、実用性、そして国際的評価という三拍子を備えたこのEVバンは、物流、サービス、クリエイティブ──あらゆる現場のプロフェッショナルに新しい選択肢を提示するだろう。華美ではないが、確実に未来の“働くスタンダード”を形作る一台である。





