三陽山長の『匠』『零』を生み出す技は“本格靴文化遺産”だ
伝統の技を継承しつつ、さらなる美しさや履き心地の向上を目指して日々研鑽を重ねるニッポン靴職人の技。その輝きはまさに、世界へ誇る文化遺産だ。
“履き始めから柔らかい”を可能にする
フレキシブルグッドイヤーウェルト製法
三陽山長の上級シリーズ「匠」「極」「零」に採用される独自の仕立て「フレキシブルグッドイヤーウェルト製法」。本格靴の王道であるグッドイヤーウェルト製法をさらに進化させ、より快適な履き心地を叶えるために考案されたものだ。従来のグッドイヤーでは、中底にリブテープという凸型のパーツを貼り付け、その突起にウェルトを縫い合わせていく。しかしそれゆえ中底がガッチリと固定され、しばらく履き込むまでは硬い感触になってしまうのだ。
一方フレキシブルグッドイヤーは、中底の端をL字形にめくり上げ、そこにウェルトを取り付ける。これにより中底本来の柔軟性が損なわれず、新品の状態から驚くほどしなやかに仕上がるというわけだ。リブテープを貼り付けるより、中底をめくり上げるほうが手間を要するのはいわずもがな。しかしこの製法により、堅牢かつ柔軟な理想のクオリティが叶う。革靴にも心地よさが求められる今のニーズに応えた画期的製法だ。
職人技の極北。“彫刻靴”を生むゼロシーム仕立て
三陽山長の最高峰を体現する「零」シリーズに採用されるのが「ゼロシーム仕立て」。アッパーに継ぎ目を全く設けず、完全な一枚革で造形を行う超絶技巧だ。通常は型紙をもとに裁断→縫製(製甲)のプロセスを経て吊り込みを行い、靴の立体を形作っていくが、ゼロシーム仕立てはいきなり吊り込み。革を水に浸して柔らかくし、それをあらゆる方向から引っ張って木型へ沿わせていくのだ。
当然、最初のうちは至るところにシワや歪みが出る。しかし何度も引っ張っては釘で留め、また引っ張っては留めという作業を繰り返すことで、少しずつ革が立体的に伸びていき、美しい靴の形になっていく。その様子はさながら、革の彫刻である。かくして吊り込みが終わると、木型を入れた状態のまま履き口部分をカットし、一度木型から外してライニングを縫製。その後再び吊り込んで底付け……と、通常とは段違いの手間をかけて完成に至る。職人の執念すら感じる入魂の仕立てなのだ。
問い合わせ先
三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店
TEL:03-6281-9857
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