綿谷寛画伯の「コンサバお洒落妄想旅計画」~ビスポーク秘境旅~【最終回】

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綿谷画伯のコンサバお洒落妄想旅計画

家に籠る時間が増えると、自ずと旅への想いが募るもの。訪れたい地へ想いを馳せれば、何を着ていくか、何が食べたいかと、そこでの楽しみ方が浮かんでくる。取材に遊びに、国内外のあらゆる地へ足を運んだ、画伯が思い描く、とっておきの旅計画を参考に、ぜひ貴方も自身の旅の妄想を膨らませて欲しい。

1858年創業の『クニッシェ(KNIZE)』

オーストリア ウィーンでビスポーク秘境旅

伝説のテーラーの妄想で只今、頭の中は情報ゴミ屋敷

30代から50代の間で“スマホ認知症”の人が増えてるそうだ。これは何かというと、片時もスマホを手放せないことから情報を詰め込み過ぎて、頭の中が情報のゴミ屋敷となり、肝心な時に人の名前や店の名前が出てこなくて「アレアレ、アレだよ!」とやっちゃうやつ。元々物忘れが激しい60代のボクなどは、スマホがあってもなくても「アレアレ」なのだけれど、そんなボクが忘れたくても忘れられない憧れのテーラーが、オーストリアのウィーンにある。それが、1858年創業の『クニッシェ(KNIZE)』だ。

初めてこの店の存在を知ったのは、40年前。世界のメンズショップの名店を紹介したアラン・フラッサーの名著『メイキング・ザ・マン』(平凡社刊)だ。この本では写真の紹介はなく文章から想像を膨らませるのだが、印象に残っているのは“スタイルはナチュラルショルダー。裏地はシルク。これは世界でもっとも柔らかいといってよい”というのと“ここは金のない男が買い物する店ではない”という記述。トラッド野郎のボクは、超高級なナチュラルショルダーとはどんな服だろう? と引っかかっていたが、その後日本でこの名店が紹介されることはなく、ボクもすっかり忘れ去っていた。

最後の服飾秘境クニッシェに行きたい

「コロナも落ち着いたし、久しぶりに海外でも旅行しようよ。秋にウィーンなんてどう?」

女房のこのひと言によって再びクニッシュの記憶が蘇ったのはつい先日のことだ。

時代は大きく変わりKNIZEと検索すれば出てくる! 出てくる! “1888年にはオーストリア皇帝に仕えたことですでに王室御用達を取得”だの“画家のオスカー・ココシュカはスーツの代金を絵画で支払った”だの“マリリン・モンローはブラウスを、マレーネ・ディートリッヒはステージ用の燕尾服を仕立てた”だの、名店ならではの逸話がザックザク。また、オーストリアを代表する建築家アドルフ・ロースが1913年に完成させたという内装も素晴らしく、建物自体がウィーンの名所のひとつに数えられているとか。

で肝心のスーツだけれど、クニッシェのオーナー兼マネージングディレクターのルドルフ・ニーダーシェスさん(上のイラスト参照)が着用するスーツから同店のハウスモデルを見ることができる。なるほど、これがアラン・フラッサーの言うところのナチュラルショルダーか。実にエレガントな肩回りとドレープだ。いかん。頭の中が情報のゴミ屋敷になってきた。これは実際に足を運ばないと。でもオーダーするお金が……。

代金はイラストで支払えないか。

綿谷寛さんイラスト
絵と文・綿谷 寛

コロナ禍になり、旅がままならなくなったのをキッカケに始まった当連載ですが、ようやくコロナも終息に向かい妄想ではなく実際に旅ができるようになった今、そろそろお役御免かな……ということで妄想旅計画は今回で最終回。カミさんが「秋に2人で2週間くらい海外旅行に行こう」と旅計画に夢中です。てことは溺愛中の愛犬ロビンをペットホテルに預けるワケ!? “ロビンがかわいそう(涙)。おまえひとりで行ってこいよ”と言いたいけど言えない今日この頃。皆さんは良い旅を!



[MEN’S EX Spring 2023の記事を再構成]

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