「ベル&ロス VINTAGE 123」を、ビームス中村さんが20年間愛用し続ける理由

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ベル&ロス

ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さんが所有する貴重なお宝服の中から、ウンチク満載なアイテムを紹介する人気連載「中村アーカイブ」。「ベーシックな服もアップデートされていくので、何十年も着続けられる服は意外と少ない」という中村さんだが、自身のファッション史の中で思い出深く、捨てられずに保管してあるアイテムも結構あるのだとか。そんなお宝服の第43弾は……?

中村アーカイブ細バナー

【中村アーカイブ】 vol.43 / ベル&ロス VINTAGE 123


ベル&ロス VINTAGE 123


2001年に購入しました。’90年代にダイバーウオッチ、クロノグラフ、GMTとスポーツウオッチをひと通り手に入れ、’90年代後半になるとIWCのマークシリーズのようなシンプルでクラシックなパイロットウォッチが欲しいと思うようになりました。

第一候補はIWCだったのですが、マークシリーズも新型が出るたびに高くなっていたので、’90年代後半頃は簡単に買えるような値段の時計ではありませんでした。

当時、時計のバイイングをしていて、自分の時計選びの指南役でもあった先輩に何を買ったらよいか相談したところ、フランスのBELL&ROSS(ベル&ロス)というブランドの時計を扱うことになったので、それがいいのではとアドバイスされました。

BELL&ROSS自体は海外出張の時にエールフランスの機内誌で度々目にしていたのでブランド自体は知っていました。当時はSINNの時計をベースにモディファイされたBELL&ROSS by SINNというブランド名だったので、SINNの別ブランドなのかなという程度の認識しかありませんでした。

デリバリーされて、当時BELL&ROSSを展開していたBEAMS TOKYOの店頭に並んだモデルを見てみると、クラシックなデザインでありながら他のブランドにはない独特なセンスの良いデザインに目を奪われました。

特に目を惹いたのが1930年代から1950年代のミリタリーウオッチをイメージしてデザインされたVINTAGEというシリーズ。その中でも一番シンプルなスモールセコンドの付いた123というモデルに惹かれました。

益々興味が湧きブランドの背景を調べてみると、CARLOS ROSILLO(カルロス ロシロ)とBRUNO BELAMICH(ブルーノ ベラミッシュ)という二人の名前をとってBELL&ROSSと名付けられたこと、二人は時計のコレクターである事、彼らがSINNをリスペクトしていたことによってBELL&ROSS by SINNというダブルネームができたこと、本社がパリにあってシャネルが資本参加したことなど、様々なエピソードを知ることになります。

当時人気があった時計は宝飾系の時計以外はほとんどがスイスブランドだったので、フランスの新しいブランドが作るスイス製のヴィンテージ風ミリタリーウォッチというのも洋服屋にとってはとても新鮮に感じました。

この時計を初めて見たときから、自分の中で買うことは決まっていました。そしてスモールセコンドの部分が文字盤と同じ黒かコントラストの付いた白か散々迷った挙句、IWCのマークシリーズのイメージもあったのでシンプルな黒文字盤を選びました。

当時は私だけではなく、BEAMSの時計好きのスタッフの間でもBELL&ROSSが人気となり、多くのスタッフが愛用していました。その頃はブランドの歴史や背景、ウンチクが好きなスタッフが多かったので、まだ創立して数年しか経っていない時計ブランドがそれほど人気になることは珍しいことでした。おそらく私と同じく、クラシックでありながら他のブランドにはないデザインに魅かれたのではないかと思います。

それ以来20年間手放そうと思ったことは一度もなく愛用し続けています。VINTAGEシリーズも進化しながら今も存在しますが、個人的には二人が最もBELL&ROSSらしいと言っているこの当時のVINTAGEシリーズが一番好みです。

おそらくこれからもこの時計を手放すことはないでしょう。モデル名と同じく本当にヴィンテージになるまで使い続けようと思っています。

2024

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