高級車とは何か?――その答えを凝縮したSクラス
メルセデス・ベンツの「基本」と「今」を凝縮
Sクラスはメルセデス・ベンツのなかでもっとも高級なサルーンであり、同ブランドを文字どおり代表するモデルである。したがってSクラスこそメルセデス・ベンツといえるし、メルセデス・ベンツといえばSクラスという言い換えも成り立つ。
初代Sクラスが誕生したのは、今からおよそ半世紀前のこと。以来、6度のモデルチェンジを経て、今回、社内コードでW 223と呼ばれる最新世代がデビューした。この間、メルセデス・ベンツは高級車のあり方を自らに問い続け、次世代の安全性基準を打ち立て、そして高い効率性を追求してきた。
その結果、Sクラスは世界中のユーザーから「高級車の規範」と見なされるようになり、高級車の代名詞としての地位を確立したのだ。ちなみに先代W 222は発売以来7年間で累計50万台を販売し、「世界でもっとも人気の高いラグジュアリーセダン」と称されている。
最新作のW 223は、こうした伝統に則って開発され、世に送り出されたといっていいだろう。
装備、デザイン、性能すべてを飛躍的に進化
そのスタイリングは、「センシュアル・ピュリティ(官能的純粋)」と呼ばれるメルセデス・ベンツ・デザインの基本思想を体現したもの。最新世代ではボディを飾るラインやエッジを極限まで減らすいっぽう、ボディパネルに彫刻的ともいえる曲面を与え、繊細な陰影を作り出し、単なる自動車デザインという枠組みを超えた美しさを表現している。
一方、インテリアでは、伝統と革新が共存する、まったく新しい高級車像が描かれた。全体的にはレザーやウッドというオーセンティックな素材が用いられているものの、ダッシュボードの中央付近に12.8インチという特大サイズの有機ELメディアディスプレイを配置。
ナビ、エアコン、オーディオなど様々な操作をタッチスクリーン方式で行えるようにすることで、ダッシュボード周辺に設けられていたスイッチ類の数を大胆に削減してシンプルなデザインを作り上げた。
それ以外にも、ドライバーの顔、指紋、声もしくはPINコードによって個人認証を行なってシートポジションやナビゲーションのお気に入り設定を自動的に行なう機能や、ナビゲーションで設定した行き先までの道筋を実際の路上の映像を使って案内するARナビゲーションシステム、メーターパネル内の表示が3次元的に見える3Dコックピットディスプレイなど、ハイテク機能が目白押し。
さらに、メルセデス・ベンツの独壇場ともいえる音声認識を中心に据えたMBUXも最新世代に進化し、いっそう機能が充実した。
新型Sクラスのエンジンは2タイプ。ひとつは直列6気筒 3.0ℓのガソリン・エンジンで、モデル名はS500。そしてもうひとつがやはり直列6気筒 3.0ℓのディーゼル・エンジンで、こちらはS 400 dと呼ばれる。なお、ボディは標準仕様とロング仕様の2種類が用意されている。