今、また着たいと思える代表的な秋アイテム
M.E. トラッド復権とは以前から耳にしてきましたが、このセーターはそれを象徴するものですね。
中村 そうですね。最初はスーツのクラシック回帰から始まった潮流がカジュアルウェアにも波及して、今はよりその傾向が強く表れています。クリケットセーターはチルデンセーターとも言われますが、その由来が米国人テニスプレーヤーのウィリアム・チルデンであることは有名な話ですね。
M.E. アイビーやプレッピーのアイコンという印象もありますよね。
中村 はい。日本における歴史も長く、’70年代のファッション誌でも盛んに取り上げられていました。発祥はイギリスですが、アメトラスタイルの中でファッションアイテムに育ったものともいえます。
M.E. 昔と違う点はありますか?
中村 まず、英米だけでなくイタリアンブランドもこぞって提案している点。それに伴って、グレーやベージュベースなど現代的な配色のものも増えていること。それから、コーディネートの考え方が大きく変わったことも重要です。
M.E. というと?
中村 トラッドルーツのアイテムは”こう着るべし”というセオリーがありました。しかし今はそれにとらわれず、自由な発想で着ることが大切になっています。あまり難しく考えずに、気楽に着ることこそ”今”のキモといえますね。